「クックパッド」が手掛ける異色の宅配サービス 1品から送料無料で注文できる仕組みを構築
生鮮ボックスを設置する拠点にとっても、付加価値向上に使えるサービスのようだ。立ち上げの背景について、クックパッド執行役の福崎康平氏は次のように語る。
「20年、国内外を問わず、レシピサービスとして毎日の料理の意思決定に関わってきた。その中で大きな変化を感じているのが、共働き世帯の増加。昼間に買い物ができる専業主婦は減少し、時間のない中で、近くのスーパーなどで済ませるという家庭が増えている。買い物も料理の大きな部分を占め、本来は楽しみの一つなのに、結果として、スーパーに並べられている限られた食材で献立を考えるしかなくなっている。買い物をもっと自由にし、食の楽しみを広げたい、その思いからサービスを立ち上げた」
「食材の生産者には伝えたい思いがある」
学生時代海外100都市を巡り歩いたという福崎氏。とくに市場(いちば)での買い物習慣、生産者と消費者の活発なコミュニケーションに着目した。新規事業の着想にも、その経験が生かされているという。
「今、流通が間に入ることで、生産者と消費者が互いに顔が見えなくなっている状態。芸術家が作品をつくるのと同様、食材の生産者には伝えたい思いがある。それなのに、いくらで、誰が買っているのかわからず、フィードバックも得られない。生産品によって得られる収入も小さくなっている」(福崎氏)
こうした課題の解決策として、クックパッドマートを考案した。
消費者としては気になるのが、手数料や配送料の増加による価格アップ。しかし同サービスでは、流通を挟まない分、従来より安くなるそうだ。同社で説明する例では、従来の流通では、生産者の出荷時点で50〜80円だったものが、組合や市場、問屋などを挟み、最終的にスーパーなどでは、150〜198円になっている。
いっぽう、クックパッドマートでは、生産者の手取りを増やして80〜100円にしても、消費者の購入価格は120〜150円で済む。配送にかかる時間も、一般的には産地からスーパーに届くまでには数日要することもあるが、クックパッドマートでは、朝出荷したものが夕方届くなど、大きく短縮される。例えばその朝まで泳いでいた魚が、刺身などになって家に届くイメージだ。
上記は、生産者が共同集荷所などに納品した商品を、クックパッドが集荷し、そのまま各マートステーションに配送するというように、一元化された仕組みによって可能になっている。
生産者側の負担は上記イメージのような手数料のみで、初期費用や固定費、送料負担は必要ない。サービス対象地域の生産者であれば、誰でも出品が可能だ。
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