福島県の情報漏洩疑惑、「お手盛り調査」の実態 疑い持たれた部署が調査や文案作成を担当
おしどり氏はこのことを問題にした。福島県知事宛てに事実関係について回答を求める文書を送付。福島県の県政記者クラブで会見を開いて申し入れ書の内容について説明した。
それに対して福島県は調査を行ったとしたうえで、7月17日付でおしどり氏の代理人弁護士宛てに「開示請求者〈=おしどりマコ氏〉の氏名については、提供した事実は確認されませんでした」との文書を送付した。おしどり氏の情報公開請求に関して、福島県は申請者の氏名を東電側に伝えた事実は確認されなかったと言い切ったのだ。
しかしながら、福島県が実施した内部調査には、根本的な問題があることがわかった。情報漏洩の疑いを持たれているエネルギー課の職員らの聴取を、同課の課長らが実施していたのである。
さらに、「事実関係が確認されなかった」という知事名の文案を、疑いを持たれていた同課の職員自らが作成していた。おしどり氏の問い合わせにエネルギー課の職員が回答し、東洋経済も担当職員からその事実を確認した。
県知事名の回答文書に記された問い合わせ先についても、疑いを持たれている同課職員の氏名が「事務担当」として記されている。福島県は、「Jヴィレッジを所管している」という理由で、エネルギー課に調査を委ねたのだ。
敷地内で高濃度廃棄物を極秘保管
そもそも、Jヴィレッジの問題が持ち上がったのは2019年10月。国際環境NGOグリーンピースの現地調査により、Jヴィレッジに隣接する楢葉町営駐車場脇で高い放射線量を示すホットスポットが見つかったことがきっかけだった。
その後の環境省や東電による調査により、東電による除染がきちんと実施されていなかったことが判明。東電は汚染土壌を撤去し、福島第二原発の構内に運び込んで暫定保管している。
しかし、新たに判明した問題はそれだけにとどまらなかった。Jヴィレッジの敷地で放射性物質を含む土壌や廃棄物の撤去作業に従事した作業員の被ばく線量管理が行われていなかった事実が取材によって明るみに出た。
のみならず、原状回復工事で発生した放射性物質を含んだ土壌を、東電が「再生利用」と称してひそかに土地造成工事で活用していたことも判明した。その総量について東電は約5万1000立方メートルであるとニュースリリースで明らかにしていたが、8月3日の記者会見で約5万4000立方メートルが正しいと口頭のみの説明で修正した。
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