政府は「新型コロナの恐怖」政策を見直すべきだ

冷静な情報発信で萎縮を解消し日常に戻ろう

しかし、新型コロナによる「脅威」が完全に払拭されたわけではない。ウイルス自体が「脅威」なのではない。本当の脅威は、国民の間に活動抑制を維持・継続しなくてはならないという「萎縮心理」が広がっていることである。

これは、新型コロナに対する恐怖感が根強く残っていることに加えて、社会の中に自粛すべきだという暗黙の了解が広がっているからだ。実際、政府はなんとか活動再開を進めようとしているが、地方自治体では依然として感染防止を最重要視している。自粛を求める社会心理が最も先鋭的に表れた「自粛警察」は影を潜めたようだが、それでも他人の目が気になって自由に行動しにくいという消費者は多い。企業にとっても、風評被害を防ぐという観点から、感染防止に最大限配慮することが重要な経営課題になってしまっている。

最大の問題点は、こうした自粛ムードを解消するシナリオが描けないことである。国民の大半が自粛ムードに染まっているため、各個人が自ら行動を変えるのが困難だからだ。

萎縮しきって悪い均衡が広がっている

これはゲーム理論で説明するとわかりやすい。いま日本には、「良い均衡」と「悪い均衡」の2つの均衡点が存在している。

下の表は、横方向にAさんの選択肢、縦方向にBさんの選択肢をとって、2人の選択でどのような結果が得られるかを描いたものである。選択肢は旅行するか自粛するか。2人とも旅行して左上の「良い均衡」を選べば、2人とも楽しい経験ができる(+10)。

ところが左下のように、Aさんが自粛して、Bさんが旅行すると、Bさんは周囲から白い目で見られて、嫌な思いをすることになる(-10)。結果として、AさんもBさんも自粛するという右下の「悪い均衡」に行き着くことになる(-1)。これが、いま日本社会が置かれている状況である。AさんもBさんも自粛がベストの選択肢であるため、この状態は永遠に続いてしまう。

ここから脱するには、ゲームのルールを変えることが不可欠である。具体的には、旅行しても白い目で見られないというルールに変えればいい。それによって-10をプラスに変えることができれば、自動的に左上の「良い均衡」にシフトしていく。

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