政府は「新型コロナの恐怖」政策を見直すべきだ 冷静な情報発信で萎縮を解消し日常に戻ろう

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日本人にとって脅威のウイルスではなかったことに加え、データを冷静に分析すれば、足元の感染拡大もそれほど心配する必要はない。実際、感染者が4月のピーク水準を大きく上回って増加する一方、感染者が増え始めて1カ月経つにもかかわらず、死者数は低い水準を維持している。もともと低かった死亡率が、さらに低下しているようにみえる。

この理由は、足元の感染増は若年・壮年が大半であり、高齢者の感染が抑制されているからである。新型コロナによる死亡率がほぼゼロの若年・壮年者については、緊急事態宣言の解除に伴う活動再開やPCR検査数の拡大などによって、新型コロナの感染報告が増えることになった。一方、新型コロナによる死亡率が高い高齢者は、医療機関・介護施設などでの感染予防が徹底され、感染者の増加抑制に成功していると考えられる。そのため、全体の死者が増えていないのである。

検査は「夜の街」でなく病院で行うべき

こうしてみると、いたずらにPCR検査を増やすことについて再考すべきではないだろうか。結局、今は、「夜の街」などで検査数を増やして、無症状や軽症の陽性者を見つけ出しているだけである。PCR検査の精度にも問題があることを踏まえれば、病院など感染・死亡リスクが高いエリアに限って、患者や医療従事者のPCR検査を集中的に行ったほうが効果的だと思われる。

併せて、指定感染症も早急に解除したほうがいい。感染拡大に伴って医療崩壊が懸念されるようになったが、その実態は軽症者の入院が急増しているからである。さまざまな作業が要求されるため、検査を担う保健所や医療現場も膨大な負担を強いられている。重症者への対応力を強化するためにも、そろそろ指定感染症の解除を検討すべきである。

以上のように、感染者が増えても死亡者が抑制されている現状を踏まえれば、日本では新型コロナウイルスとの共存がある程度実現しているといえるのではないだろうか。高齢者の感染防止さえ注意すれば、若年・壮年の感染者が増加すること自体、大きな脅威とはいえない。

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