6人家族で「1週間の食費は1万円」極限の食生活 野菜はほとんど買えず「鶏胸肉」がたまの贅沢

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夕食の定番は“素すいとん”のほか、ケチャップをあえたパスタや、レトルトのもとと豆腐を合わせただけの“麻婆豆腐”など。シュウゴさんは「果物はぜいたく品。野菜もほとんど買えません。たまに鶏の胸肉を買うくらいです」と話す。

生活保護水準を下回る収入でも、なんとか暮らしていけるのは、シュウゴさんの父親が多いときで月4万円ほどの仕送りをしてくれるほか、地域のフードバンクからコメの提供を受けているおかげだという。

両親との同居から歯車が狂い始めた

シュウゴさん夫妻はともに関東地方出身。妻はもともと看護師として働いており、結婚当初の年収は2人合わせて700万円ほどあった。「子どもは多いほうがいいね」「いつか一戸建てを持ちたい」。当時は2人でそんな未来を語り合っていたという。

人生の歯車が狂い始めたのは、シュウゴさんが30代になり、4人目の子どもが間もなく生まれようというころ。妻はすでに仕事を辞めており、シュウゴさんの収入だけでは家計が厳しかったので一時的に妻の実家に身を寄せた。しかし、妻は子ども時代に両親から虐待を受けた経験があった。もともと不安定だった関係は同居によってさらに悪化。最後は追われるようにして家を出た。

できたてのすいとん。栄養面のことを考えると心配もあるが、子どもたちはいつも喜んでたいらげるという(写真:シュウゴさん提供)

引っ越しにかかった費用の一部を妻の両親に立て替えてもらったこともわざわいし、実家を出た後も両親からは借りた額の何倍もの金額を請求されたり、「刺してやる」「お前らのことは逃がさない」といった手紙が送られてきたりした。「怖かったです」とシュウゴさん。警察に相談し、妻の両親が住民票などを閲覧できないよう措置を取ってもらったという。

一方の妻は無事に出産したものの、体調がすぐれない日々が続き、最終的に膠原病と診断された。これ以降、シュウゴさんの勤怠は不安定になり、収入は激減。転職を余儀なくされることもあった。関東圏や東海圏などいくつかの地方都市での生活を経て、2年ほど前に「暖かいところのほうが妻の体調がよい」という理由で、九州への移住を決めた。

血縁も地縁もない土地での暮らしは、家計にも厳しい。シュウゴさんは「妻の実家からできるだけ離れたかったので、(同じ関東地方にある)私の実家に戻るのは避けたかった。それに最近は妻の体調もよくなっており、九州を離れるという選択肢はありません」と話す。現在、カードローンなどによる借金は約100万円になるという。

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