ブルドックソースの十字架、敵対的買収こそ切り抜けたものの…“公約”も絵に描いた餅 


 業務用市場は、コンビニではチェーンごと、学校給食では市町村ごとに仕様が異なり、大量生産できないため採算は低い。それゆえ、長年にわたりソース業界では、大手が消費者向け大量生産、中小が業務用というすみ分けが成立してきた。90年代後半から大手も進出しだしたが、ブルドックは家庭用でのシェア4割に対し、業務用ではまだ1割程度しかない。

同社は昨年夏ごろ、2度にわたって業務用に強い中堅ソースメーカーとM&Aの交渉を実施、現在も物色を続けている。買収資金には工場再編用に予定していた費用30億円を充てる算段だ。だが一方で、ブルドックソースは高度経済成長期に、特約店方式を中心とした小売店での販売で販路を拡大したため、「短期間での納入が必要とされる業務用市場には慣れていない」(中堅メーカー社長)との指摘もある。

実は、大手コンビニ向け焼きそば専用工場での入札で、同社はオタフクソースに競り負けている。オタフク側は、全国のコンビニの焼きそばを集め3度試作品を持参。自社のテストキッチンで担当者とともに試作するなど、小回りのよさを見せつけた。一方のブルドックは試作品を一度持参したのみ。月間数千缶という宝の山はライバルの手に渡った。

冒頭のスティールは08年にブルドック株を全株売却。他の日本企業への出資割合も次々に引き下げた。当時交渉に携わった担当者は、「買収提案の際、スティール傘下の米レストランチェーンとの提携による販売量増加を提案したが、採用されなかった」と打ち明ける。「人口縮小で内需に期待できない中、海外市場にも積極展開をしておらず、永続的に企業価値を上げようと努力しているようには見えない。上場企業としては不十分」と手厳しい。

スティールとの法廷闘争後、「株主の皆様にお約束した企業価値向上に邁進する」と語った池田社長。自身にとっても今年は就任10年目の年。“失われた10年”としたくなければ早急な戦略見直しは必至だ。

(麻田真衣 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済)

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