ブルドックソースの十字架、敵対的買収こそ切り抜けたものの…“公約”も絵に描いた餅
突然送られてきた英文ファクスが、創業100年を超える老舗食品メーカー、ブルドックソースを揺るがしたのは2007年5月のこと。敵対的買収を仕掛けてきたスティール・パートナーズとのその後の攻防戦は記憶に新しい。
スティールによるブルドック株保有は02年に明るみに出たが、それ以降も接触は少なく、同ファンドからの買収提案はまさに寝耳に水だった。ブルドックソースの池田章子社長とスティールのウォーレン・リヒテンシュタイン会長によるトップ会談は決裂、ブルドック側の買収防衛発動をめぐり法廷闘争に発展した。
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【株価・月足】
結果的に、ブルドック側の勝利という形で幕引きとなったが、その代償は大きかった。ブルドックには年間営業利益に匹敵する約6億円の訴訟関連費用が発生したうえ、買収防衛策の一環でスティールに約21億円を支払い、08年3月期は最終損失19億円を計上した。また、最高裁による買収防衛策承認が、外国人投資家の日本市場離れを加速させるという副産物まで遺(のこ)した。
工場再編計画もたなざらし イカリとの相乗効果遠く
あれから3年、ブルドックソースは今、大きな壁にぶつかっている。07年のスティールとの攻防戦のさなか、株主向けの説明会で発表した中期経営計画は絵に描いた餅となっている。中計の目玉は二つあった。