香港金融人材の日本移住が簡単にはいかない訳 外国人には3つの障壁が立ちはだかっている

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税率の高さを許容し、無事に東京で金融職を得たとしても、子供の教育についてまた壁が立ちはだかる。

まず、日本の公立小学校や私立小学校に通わせるだけでは、英語を使いこなせるようになるのは極めて難しい。そのため、インターナショナルスクールが現実的な選択肢となるだろうが、香港同様に人気校はウェイティングリストに登録をして順番待ちをするケースも多い。入学できたとしても、学費や寄付などで年間100万円を超える学校は珍しくない。

さらに、マイケル夫妻は妻も香港人で、高齢の両親たちは英語を話すことができない。香港の標準語は広東語だが、大多数の香港人は北京語も理解できる。そのため、せめて北京語を――となればインターナショナルスクールに通わせるだけでは追い付かない。北京語の家庭教師などを雇い、継続的に中国語に親しませる必要がある。

日本以外の国への移住も視野に

香港人、と一口に言ってもその考えはさまざま。20代で年収2000万円超のイルマ(仮名・20代女性)は独身の香港人だが「日本は旅行先で十分」と話す。

「香港は中国企業が資金調達をする玄関口として、シンガポールは東南アジアの金融センターとして今後も発展していくでしょう。でも、ごめんなさい。東京には何があるの?」(イルマ)

リック(仮名・20代男性)も同様の意見だ。リックは香港人だが、オーストラリア国籍も保持している。彼のように他国の国籍を保持している香港人は決して少なくない。

「香港人といっても、今の状況を悲観的にとらえる人ばかりではないことを知ってほしいですね。むしろ中国企業の香港株式市場におけるIPOは増えるのではないでしょうか。僕の場合、老後はオーストラリアに移住する選択肢もありますしね」(リック)

前述のマイケルは、移住先にイギリスやオーストラリア、カナダも候補に入れて再度検討を始めた。7月22日にはイギリス政府が香港市民に対する特別ビザの詳細を公表。1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者は、2021年1月からイギリスの特別ビザを申請できる、とするものだ。

今回の決定で、今後は2回に分けた30カ月の長期滞在か、5年間の長期滞在が可能になった。また、特別ビザの保持者は就労上の制限も受けず、イギリス市民権獲得の道も開かれている。

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