ただし出入国管理及び難民認定法に定める在留資格「高度専門職」に認められれば、他の在留資格とは異なり、はじめから在留期間は5年間で、永住権申請への近道となる。
この高度専門職は年齢や年収、学歴などから計算されるポイント制度。80点以上のポイントの高度外国人材については、高度外国人材としての活動を継続して1年間行っていると、永住権の申請が可能になるが「企業で働く人材の場合、若いエンジニアなどが中心で、金融人材については少ない印象です」(松本氏)。
また、日本で永住権を取得しても、1年を超えて日本を離れる場合は事前に再入国の許可を得て、最長5年間の期限までに再び日本に戻る必要がある。松本氏によると、うっかり再入国許可の有効期間を数日過ぎて帰国した外国人が、日本入国の際に再度の永住権を許可されなかったこともあるという。
ちなみに香港は、比較的永住権を取得しやすく、維持もしやすい地域として知られている。「7年以上連続して居住すれば、永久居民資格(永住権)を取得できることになっています」(香港のビザ取得サービスを手掛ける香港BSディレクターの鴫谷賢二氏)。
永住権を取得できても、1年のうち半分は国内に滞在しないと永住権が取り消しになる国もあるが、香港においては、永住権取得後は、3年に1度入境すれば資格を保ち続けることができる。さらに「たとえ永住権を取り消されたとしても、代わりに入境権が付与されます。選挙権や社会保障の一部はなくなりますが、就労や居住は制限なく継続できる」(同)
シティバンクのプライベートバンク部門出身でもある鴫谷氏は「こうした永住権の取得のしやすさ、保ちやすさに加えて大きなメリットが税率の低さ。このような魅力に惹かれ、世界中から多くの金融人材や富裕層が香港に集まり、金融都市として発展してきました」と指摘する。
香港人を驚かせる日本の税率
一方で、さらに香港の金融人材が一様に目をむくことになるのが日本の「税率」である。
香港と日本は、双方ともに所得に応じて納税額が上がる累進課税制度(※厳密には、香港は標準課税方式との選択制)。しかし香港の所得税率が最高17%である一方、日本では45%だ。香港には存在しない住民税だが、日本では10%前後。つまりこれだけで所得の半分以上を持っていかれてしまう。さらに、キャピタルゲイン税20%、消費税が10%。子供に財産を残す場合も10~55%の相続税がかかる。これらはいずれも、香港では非課税だ。
賃貸、売買ともに不動産が非常に高額な香港だが、金融業界の高所得者であれば、たとえ家賃やローンを自力で支払っていたとしてもおつりがくる。
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