「家政夫ナギサさん」に見る女性たちの今の本音

何でもできる男性家政夫に求めているのは

さらにそのパロディの『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)が2016年からシリーズ化されて今シーズンも放送中。王道の問題解決型の設定だが、家事のお役立ちプチ情報を入れたことと、性別はあいまいながら「男性の俳優が演じる家政夫という意味で新しかった」と田幸氏は話す。

今年は、ミタゾノの新シリーズに『逃げ恥』再放送に、ミニドラマで『きょうの猫村さん』(テレビ東京系)が放送され、『家政夫のナギサさん』が加わった。ミタゾノが性別不詳、猫村さんは猫の家政婦という役割、そして逃げ恥は女性、ナギサさんは男性とバラエティ豊か。4作も並ぶ今期の新しさは、「猫村さんとナギサさんが、それぞれ異なるタイプの癒しの存在であること」と田幸氏は分析する。

「朝ドラの『あさが来た』(2015~2016年)のヒロインの夫、新次郎や、先シーズンの『スカーレット』のヒロインの夫、八郎など、仕事をバリバリする女性のサポートをさりげなくしてくれる男性の需要はすごくある」(田幸氏)。

『家事ヤロウ!!!』が大人気

同時に、男性の家事への注目も高まっている。

「今、バラエティの『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)がすごく人気で、公式インスタのフォロワーが100万人近くになっている。当初は独身男性3人という設定だったのが、キャストの1人、バカリズムさんが結婚したので、家事初心者という設定にして独身男という縛りも取っ払った。

初心者でもできるちょっとした技が、SNSでバズるほど需要が高かったんだなと思っていたところに、コロナの影響で家のこと需要が高まる。ちょうどいいところで、家政婦/夫ドラマが増えた」(田幸氏)

『逃げ恥』の4年前は、共働き女性を中心に、家事の軽減を訴える声が高かった。夫婦で家事をシェアするため家事の中身を洗い出すといった省力化、時短料理などのノウハウが広まっていく。家事代行サービスにも注目が集まり、カリスマ家政婦たちがメディアの寵児になった。

ナギサさんのドラマは1人暮らしの女性が主役なので、シェアする夫はいない。やってきた家政夫は男性で、メイは家事能力ゼロと、従来型の男女と役割が逆転している。ライフスタイルや性別にかかわらず、誰でも必要であれば家事を外注していい、というメッセージを送る物語である。

家事は必ずしも自分でやらなくても構わないが、掃除洗濯が行われなければ、生活が荒れる。料理も買ってきたもので適当に済ませるだけでは味気ないし、栄養バランスが悪くなり健康を害するリスクもある。しかし、シングルなら頼れる家族はいないし、多忙な夫婦ならお互いに頼ることも難しい。

次ページ家政夫を男性にしたことの意味
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • コロナ後を生き抜く
  • インフレが日本を救う
  • コロナショック、企業の針路
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。