「家政夫ナギサさん」に見る女性たちの今の本音 何でもできる男性家政夫に求めているのは

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アラサー世代はまだ親が元気で頼れる人も多いが、甘え過ぎると関係が悪くなってしまいかねない。自立を脅かされるリスクもある。一方で、仕事は責任が重くなる時期でもある。子供を産む人もいる。多忙なのに、生活面でのキャリアが浅いことから、いっぱいいっぱいになりがちなのが、アラサー世代だ。

「家事」は誰がやってもいい

家政夫を男性に設定したことは、2つのメッセージを含む。1つは、家事は女性がやるべきものという思い込みを脱し、誰がやってもいいこと。そして、かっこいい仕事になり得るというイメージを伝える。

家事は、つまらない雑用などではなく、モノをきちんと整える整理能力や、バランスの良い料理を作るクリエイティビティや技術力など、多面的な能力を要する仕事だと、改めて気づかせてくれる期待もある。

もう1つ気になるのが、無自覚に娘へ「呪いの言葉」をかけてきた、専業主婦の母親との関係だ。実は、家事の問題は、スキル以前に親との関係や刷り込みが、心理的な縛りになっている。メイが母の呪いを解くことができれば、もしかすると視聴者の「女性は家事ができてー人前」「家事は女性がやるべき」という心の縛りから解放できるかもしれない。

コロナ禍で時間に余裕ができて、手間のかかる料理をした、という人や、在宅勤務になった夫の参加が増えた、という人は多い。家事は嫌な仕事だと思っている人が必ずしも多いわけではない。

必要なのはゆとりであり、そうした余裕を持つためには外注も選択肢に入る。家事に対するさまざまな思い込みから、男女が自由になることが必要な時代が到来している。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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