2006年に総務省が行った社会生活基本調査によれば、30歳代、40歳代ともに、最も人気のあるスポーツはボウリングで、23%ほどの人が参加しているという。50歳代の第1位は登山・ハイキングで13%だ。不思議なことに人は年をとると、いきなり室内のボウリングから山へと向かうようだ。
この調査によれば、わがゴルフは成人のほぼ全世代で2位だ。30歳代では11%、40歳代と50歳代では12・5%、60歳代では10%が参加しているという。
ところがこの数字は男女合わせてのものだから、男性だけに限るとゴルフの人気は30歳代以上の世代では非常に高いことがわかる。
一方、日本生産性本部のレジャー白書2008によれば、ゴルフの売り上げは1兆7200億円ですべてのスポーツの中で断トツに大きい。内訳はゴルフ場が1兆1500億円、用品が4200億円、練習場が1600億円だ。ちなみに第2位のフィットネスクラブの売り上げはゴルフ用品と同額の4200億円あまりである。
ところで、同規模のサービス業の売り上げを統計局の平成16年サービス業基本調査で調べると、日本料理が2・3兆円、中華料理と美容業が2・0兆円、西洋料理は1・6兆円、すしが1・5兆円だ。
確かにクラブハウスで鉄火丼、チャーシューメン、ハンバーグ定食がメニューにあると産業規模順に人気であろう。ということは、ゴルフ場にエステや1000円カットなどを併設すると、意外と人気になるかもしれない。
数字を羅列したのには意図がある。このように人気があり、かつ大きなサービス業でもあるゴルフにだけは、ゴルフ場利用税という1人最高1200円もの税金が課せられているからだ。
ゴルフ税は1950年に施行された娯楽施設利用税の名残である。娯楽施設利用税はパチンコ店や麻雀荘にも課されていたもので、いまではゴルフ場だけに名前を変えて残っている。
この税金を新設するときの当局の説明の中には、ゴルファーは担税力があるからというものがあった。しかし、いまではゴルファーの半数以上が年収700万円以下である。
それどころか、担税力のない国民はゴルフなどぜいたくだから楽しんではいけないという理不尽、不平等な税金でもある。
ちなみに国家公務員はたとえ自費であっても、利害関係者とゴルフや麻雀をしてはいけないという規則がある。つまり利害関係者でも、自費であればボウリングや登山はできるのだ。
これらの税制や規則を作った昔のお役人たちは、お金持ちの利害関係者と高級ゴルフ場で賭けゴルフでもやり、よい目にあっていたのであろう。
ともあれ、ゴルフ場利用税の廃止でゴルフ人口が増えることによる経済効果は税収以上に大きいと思うのだ。
1955年北海道生まれ。アスキーなどを経て、91年マイクロソフト日本法人代表取締役社長。2000年に退社後、投資・事業開発コンサルティングのインスパイアを設立。趣味はジャズレコード収集やプラモデルなど多数。無類の読書家としても有名、書評も多く手掛ける。
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