2020年3月末時点での契約者数は約73万人で、前年同月末に比べて約2倍、2年前の2018年3月末と比べると6倍強に増えている。アメリカ国内だけではなく、すでにドイツとオランダでも事業を展開している。
わかりにくさを解消する手立て
レモネードのもう1つの特徴が「ギブバック」と呼ばれる社会貢献の仕組みだ。
保険会社は加入者から保険料を受け取り、加入者から請求があった場合に保険金を支払う。保険金の支払いが少ないほど保険会社の利益が多くなるため、保険金の支払いを渋られたり減額されたりという事例は少なくない。その裏返しともいえる保険金の過大請求や不正受給の問題も後を絶たない。
レモネードは、こうした不満や課題を解消するため、保険金を支払って余った保険料を社会貢献として寄付する仕組みを採用している。仕組みはこうだ。
加入者が支払った保険料から25%分を分離し、運営の費用や再保険のために支払われ、残りの75%が保険金支払いのためにプールされる。保険金を支払って残った分はすべて社会貢献のために寄付される一方、保険金支払額がプールされている額を上回った場合は、再保険から支払われるため、レモネードの追加負担はない。
保険の加入者は、申込時に自分が寄付したい先をあらかじめ指定する。その加入者が支払った保険料の75%は、同じ寄付先を指定している他の加入者の資金と合算されプールされる。寄付は毎年6月に実施されるため、加入者はその後に支援先を変更することも可能だ。
2019年はユニセフ経由での子どもたちへの食糧支援や安全で清潔な水の支援、虐待を受けた子どものサポート、五大湖のプラスチック廃棄物クリーンアップなど、26団体に対して合計で63万ドルの寄付を実施したと報告されている。
こうした社会貢献の仕組みを持っていることから、レモネードは一定の社会的なパフォーマンス、説明責任、透明性などの基準を満たす企業に付与される「B-Corp」の認定を受けている。
私たちの生活に身近な存在でありながら、仕組みが複雑でわかりにくく、さまざまな手続きが煩雑だった保険の世界も、テクノロジーを駆使した新たな保険商品が続々と登場している。
以前取り上げた「テレマティクス保険」と呼ばれる自動車保険は、その代表例といえるだろう。
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