IPO銘柄の株高が映す「保険テック」の超絶進化 「保険=わかりにくい」は過去のものになるか

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大手保険会社もインシュアテック企業との連携や取り込みを進めている。アメリカ最大手の生命保険会社プルデンシャル・ファイナンシャル(PRU)は2019年9月、アシュアランスIQを買収した。

アシュアランスIQは2016年創業のインシュアテックのスタートアップ企業で、高度なデータサイエンスと専門家のアドバイスを組み合わせ、一人ひとりのニーズに合った生命保険、医療保険、自動車保険など各種の保険商品をカスタマイズし、オンラインで購入できるソリューションに強みを持っている。

今年1月には、医療保険大手のシグナ(CI)が、医療保険・技術開発会社のオスカー・ヘルスと中小企業向けの医療保険やヘルスケアソリューションの提供で提携すると発表した。

2012年創業のオスカー・ヘルスは、Webやアプリから加入者が自分の健康履歴を確認したり、医師や看護士からなる専用のコンシェルジュチームと直接相談したりできるシステムを提供している。このシステムでは24時間年中無休で、診断予約、遠隔治療、薬の処方も受けることができる。

広がりをみせるインシュアテック

これまでソフトバンクのほか、複数のファンドから資金を得ていたレモネードが今回株式上場を果たしたが、アメリカにはまだ多くのインシュアテック関連のスタートアップ企業がしのぎを削っている。

医療保険や健康サービスの分野では、前出のオスカー以外にも、健康医療サービスと保険のネットワークサービスを提供するブライト・ヘルス、データによる患者の健康管理と予防ケアを提供するクローバー・ヘルスの名前がしばしば聞かれる。

自動車保険の分野では、スマートフォンを使って運転者の技量や行動を測定したうえで、安全と判断した運転者だけに保険を提供するルート・インシュアランスや、走行距離などのデータをもとに「走った分だけ」の保険を提供するメトロマイルなどがある。

レモネードと同じ住宅保険・家財保険では、ヒッポー・インシュアランスも注目だ。衛星画像なども使って住宅の状況を把握すると同時に、スマートホーム技術を用いて、損傷などの早期発見、交換・修理の費用負担も含めた保険を提供している。

インシュアテックは日本でもようやく本格的に導入が始まっているが、アメリカは一歩も二歩も先に進んでいる。数あるスタートアップ企業の中から、次の上場企業が出てくる可能性は高い。非常に注目される分野だ。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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