新型コロナウイルスの感染者数の増加の勢いがやや鈍化傾向にあることを背景に、アメリカやドイツなど一部の国で、厳しい外出の制限を緩和し、店舗の営業などを再開させる動きがみられている。
とはいえ、依然として予断を許さない状況が続いていることに変わりはない。こうした状況下でカギとなるのが「治療薬やワクチンがいつできるのか」ということだ。
東洋経済では、年2回『米国会社四季報』を刊行している。最新刊となる2020年春夏号は4月初旬、新型コロナウイルスの感染、とりわけアメリカでの深刻な感染拡大のニュースが報じられているタイミングでの発売となった。
主要大型企業で構成されるS&P500指数銘柄とアメリカ上場のアメリカ国外有力企業、新規公開銘柄、編集部が厳選した成長期待の高い新興企業など、計704社の最新情報を掲載している。また、日本の証券会社で購入できるETF(上場投資信託)295銘柄の情報も掲載している。
アメリカの主要企業の2020年1~3月期決算はほぼ出そろったが、やはり世界各国での外出や移動の制限、ロックダウンによる経済活動の強制停止措置などの影響から、航空や観光を筆頭に、小売りや外食など多くの業種で赤字に陥るなど、厳しい結果となった。
ただ業種間、あるいは同じ業種の中にあっても、コロナの影響を大きく受けた企業と、そうではない企業の明暗が分かれている。こうした現状や今後の展望など、ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据えて、いくつかの業界・企業を取り上げていきたい。
「レムデシビル」で先行するギリアド
厚生労働省は5月7日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として「レムデシビル」を特例で承認した。この薬品は、アメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズ(ティッカー:GILD)が開発した抗ウイルス薬で、アメリカでは一足早く、5月1日に重症患者に対して緊急使用することが認められていた。
もともとはエボラ出血熱やマールブルグ病の治療薬として開発が進んでいたが、その後、MERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)などのコロナウイルスへの有効性も確認されていた。そのため、今回の新型コロナウイルスに対しても、安全性・有効性を確認するため試験が行われており、感染患者を対象としたフェーズ3臨床試験では、症状の改善が見られたと発表していた。
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