5月も3分の1を過ぎて、アメリカ企業の2020年1~3月期決算発表がほぼ出そろってきた。この期間は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために渡航・移動・外出が制限され、工場の操業や小売店の営業もストップし始めた時期だけに、業績への影響が注目されていた。
実際にふたを開けてみると、大きくマイナスの影響を受けた企業、それほど影響を受けていない企業、さらには逆に新型コロナで人々の生活が変化したことにより恩恵を受けた企業など、さまざまだ。
本稿では、日本がゴールデンウィーク中だった5月4日から10日までの1週間に発表された、主な企業の決算の概要について報告する。
観光・旅行業界は軒並み大苦戦
売上高は180億0900万ドルで、前年同期に比べて20.7%増加した。2019年3月に21世紀フォックスの映画やテレビ関連部門を買収したほか、同年5月には動画配信サービスのHuluも傘下に収めたことで、売上高が大きく押し上げられた。
ただ、テーマパーク関連の収入は、新型コロナウイルス感染拡大によるパーク閉鎖が響き、大幅に減少した。
支出面では、買収した事業にかかるコストが大幅に増えたほか、販売費・一般管理費や減価償却費も増加した。また、前年1~3月期に計上されていたHulu買収に伴う利益(約50億ドル)がなくなった。こうした特殊要因もあり、純利益は前年同期よりも91.6%減と大幅な減益となった。
なお、2019年11月にスタートした新しい動画配信サービス「Disney+」の登録者数は、現在ではアメリカ、インドのほか、ドイツ、フランスなど欧州8カ国でサービスが開始され、有料登録者数は5000万を超えたと発表された。
売上高は22億8800万ドルで、前年同期から19.4%減少した。売上高のうち最も大きなウエートを占める仲介手数料収入が、同26.9%減と大幅に減ったことが主因だ。2020年1月後半以降、中国など一部のアジア諸国で新型コロナウイルスの感染が広がり、渡航が制限・禁止されたことが影響した。
厳しいビジネス環境の中、マーケティング関連の費用を大きく減らしたが、人件費や一般管理費、IT関連の費用などは逆に増加した。また、前年はプラスだった投資収益がマイナス(損失計上)となったこと、投資先ののれんの償却費用を計上したことから、純利益は7.0億ドルの赤字(前年同期は7億6500万ドルの黒字)となった。
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