日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」

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いずれも少子化により2009年から2019年にかけて全中学生の数自体が約180万人から約165万人へ9%減った影響があるものの、バスケットやサッカーよりマイナス幅が大きい。近年露出が増えた卓球は人数が増えている。

柔道については、中体連に残されている最も古い2001年度の4万6067人と2019年度を比べると、18年間で56%も減っている。

前出の岡田さんは「イメージダウンもあるが、中学生に関しては柔道専門の指導者不足が影響している。事故が起きたらと怖がって、柔道を専門としない先生たちが顧問になりたがらないようだ」と話す。

中1の息子を失った家族が語る不安

2009年に中学1年生だった長男の康嗣さんを急性硬膜下血腫で失った村川弘美さん(52)は「今でもそんなに(指導が)変わっていないと思う」と言う。12歳だった康嗣さんは入部したばかりの7月、気温30度の武道場で上級生や顧問からおよそ50分間技をかけられた。

「柔道界が変わっていないと思うのは、被害者の会に相談に来た人たちが顧問のパワハラや理不尽な指導に苦しんでいたから。他のスポーツは少しずつ変わってきているのに、柔道は指導が改善されていない」と憤る。

自力で他国の柔道事故ゼロを証明してみせた小林さんは、「私は柔道というスポーツを憎んでいるわけじゃない。息子が大好きだった柔道が、親しまれるスポーツになってほしいだけ」と胸の内を明かす。

会見の最後に、小林さんは柔道関係者に語りかけるように言った。

「他国の施策を参考にすることで、死亡事故をゼロにすることはできる。私は強く信じています」

島沢 優子 フリーライター

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しまざわ ゆうこ / Yuko Simazawa

日本文芸家協会会員。筑波大学卒業後、広告代理店勤務、英国留学を経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。主に週刊誌『AERA』やネットニュースで、スポーツや教育関係等をフィールドに執筆。

著書に『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)、『部活があぶない』(講談社現代新書)、『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)など多数。

 

 

 

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