10年以内に「日本国民全員を踊らせる」男の告白

「SHOE DOG」に唸るダンス界の革命児FISHBOY

『SHOE DOG』で描かれているように、ナイキの創業者フィル・ナイトは靴作りにすべてを賭けた人生を送っています。僕の場合、ダンスがそれだと思っています。最近、自分のやるべきことが見つけられないという人も少なくないようですが、僕は、自分が向いていること、これから自分がやるべきことというのは、それまでの自分が経験してきたことの中にこそあると思っています。

まったく別のものから成功するというのはまれですし、本人もしっくりこないでしょう。日常で感じる不満や、経験のなかにヒントは散らばっていますし、迷ったら、一度自分の人生をとことん振り返ってみるといいと思います。

経験したことが、形が変わってもつながっていることもたくさんあります。「サッカーを頑張ってきた結果、鍛えた脚力がこの仕事に生かされている」とか「あの頃培った指示出し能力が、この役職につながっている」といったストーリーが大切ですよね。

僕は、「ダンサーってこういう扱われ方をされちゃうんだよね~」と愚痴に終始するのはイヤなんです。自分だけじゃなく、みんなそういう不満を抱えている。じゃあこの現状を、経験を土台にしてどう変えるかという考え方ができれば、解決策を見つけることができます。着実に行動に変えていく。僕はアウトプット前提で、いつも物事を考えています。

フィル・ナイトも自分がアスリートだったときの不満や気づきなどの経験を靴作りに生かしているように、起業家のマインドも同じかもしれませんね。商品やサービスを生み出す時は「自分はこう感じていたけど、それって自分だけじゃないかも?」と思った瞬間が、新しい展開を生むチャンスだと思います。

「最悪でも、死なないから大丈夫」

フィル・ナイトはゼロの状態から、ナイキを成功させました。失敗したら何もかもを失うギリギリの状態で、つねに時間もお金もすべてを注ぐ判断をしてきた彼には「最悪、失敗しても死なない」というマインドがあったのではないかとも思うんです。

リスクを想定したり、最悪の状況を考えたりしたときに、「別に死なないからいいか」と考えられることは、僕が判断を迫られたときに攻めることができる大きな理由です。

ダンスも同じです。初心者に「大きく踊ってください」と指導しても、どうしても小さく踊る人がいます。なぜそうなるのかを聞くと「だって怖いから」と答えるのです。そういうときはこう言うようにしています。「よく考えて。それ失敗しても死なないよ!」って。

僕は、事業で失敗して、たとえ無一文になってもいいと思っているところさえあります。なにか働くところはあるだろうし、この日本で餓死することはないだろうと。「どうせ死なない」というところで挑戦できることは、いちばん自分らしいことだとも思っています。

成功の定義も、失敗の定義も、僕にはありません。他人からは失敗と見られているようなことでも、自分自身はそうは思っていなかったり、みんなに「成功したね」と言われても、まだまだだと考えていたり。他人がどう思うかで成功と失敗は区別できますが、自分の中では区別なく、楽しんでいる。それが現在につながっています。

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