これだけは押さえたい「大災害でもらえるお金」 知らないと損をする"生活再建"のための税制

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保険の性質として、補償の対象を増やすと保険料が高くなります。この点を踏まえたうえで、マイホームやマイカーなどの資産を購入する場合は、必要経費として損害保険料をとらえておく必要があります。

損害保険料を下げるテクニック

筆者の経験では、損害保険は保険料を節約しようとすると、いざというときに支給される保険金が減ったり、支払いの対象外になります。節約を意図せず保険を設計しておくと、いざというときに保険金が満額支払われて、結果として得をするというケースがあります。

具体的には、損害保険料を下げるテクニックとして「免責金額」(自己負担の有無)を設定することができます。洪水の被害があっても20万円の免責金額が設定されている場合、被害額が30万円であれば、損害額30万円-免責額20万円=保険金10万円の支給となります。免責金額がゼロであれば、保険金は30万円支給されるのです。

免責額をいくらに設定するかは、保険会社や保険代理店に相談してください。もしも災害にあわなければ、保険料を高くしただけになってしまいます。補償を手厚くして保険料を高くするか、補償を薄くして保険料を安くするか、思案のしどころです。

また、そもそも災害リスクの低い地域に住むのが理想であることは、言うまでもありません。ハザードマップなどを確認し、災害リスクのある地域にお住まいの方は、しっかりと保険を見直しておくとよいでしょう。

火災保険の加入はかつて35年一括契約でマイホーム購入に合わせて契約し、その後いっさい見直さないことが当たり前でした。保険証券も住宅ローンの“人質”として銀行に預けることがしばしばでした。

近年は、契約期間を10年が最長にするなど、多少の修正が行われました。しかし、保険会社や保険販売側(マイホームを販売した不動産会社など)からの火災保険見直し提案はなきに等しい状態です。いざ被災した際に「こんなはずじゃなかった」という人がほとんどで、数十年前の契約など覚えているはずもありません。

マイホーム購入時点で風水害のリスクを検討した人はわずかでしょう。自分も罹災するかもしれないと考えるのであれば、損害保険は毎年見直したほうがいいでしょう。

具体的には、契約期間を1年にする、または、長期契約でも保険料の支払いは毎年払いにするという手があります。毎年契約更新にしておけば、つど保険を見直さざるをえません。損害保険も特約などは日々新しくなりますから、つねに最新の状態で保険に加入することができます。

地球環境が変わり自然災害が増えているのに保険内容は30年前と一緒では、保険内容が時代に合わなくなっていてもおかしくありません。災害リスクが増えているため、保険料は高くなる傾向です。しかし、生活再建を念頭に置いたうえで、環境変化に合わせた損害保険に加入することが、結果的にご自身の生活を守ることにつながります。

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