「不動産を買っちゃダメ」な土地を見極める方法 看過できない水害や地震のリスクを知るには

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不動産を購入する際に考えておきたい「水害リスク」。「ハザードマップ」を見るだけでは不十分なようです(写真:pixelcat/PIXTA)

昨年10月の台風19号では、東京都世田谷区や神奈川県川崎市などが、大きな水害被害を受けたことで、改めて「どんな場所に住むのが安全か」を考える必要性が高まっている。中でも、近年日本各地で水害が増えていることを受けて、不動産取引の現場では徐々に「水害リスク」を伝えるようになってきている。

2018年の7月豪雨で岡山県倉敷市真備町の浸水エリアがハザードマップの浸水予測エリアとほぼ一致していたことから、国土交通省は2019年4月から水防担当部局職員が不動産関係者に水害リスクを解説する場を設けるようになった。

同年7月には各不動産関連団体宛てに不動産取引時にハザードマップを示して水害リスク情報を提供することへの協力を依頼する文書を配布。2020年1月には水害リスクの説明を重要事項説明として義務化する方針を発表した。

ハザードマップは万能ではない

だが、それで安心かと言えば微妙で、いくつも問題がある。例えばハザードマップの前提の問題。ハザードマップはある一定規模の災害を想定し、それに応じた危険を図化したものだが、当然ながら前提とする災害の規模が違えば結果も異なる。

洪水ハザードマップは、水防法に基づいて国、あるいは都道府県がそれぞれ管理する河川について洪水浸水想定区域を指定し、それを元に市町村が作成する。2015年に法改正が行われ、浸水想定の前提が「1000年に一度、想定しうる最大降雨」に引き上げられた。より厳しい前提の下で危険を図化することになったのだ。

それに伴い、国交省が管理する直轄河川の浸水想定はすべて更新されたが、都道府県が管理する河川については作成時期の定めがないため、自治体によってばらつきが生じている。首都圏では2019年10月時点で千葉県が作成したのはわずか1河川、埼玉県に至ってはゼロ。当然、それに基づいて作られたハザードマップは甘い前提のままというわけだ。

内水や水防法が対象外としている中小河川など、そもそもハザードマップが作られていない危険もある。内水については上記の法改正に盛り込まれており、都市部を中心に、独自に作成する自治体もある。だが、2019年3月末時点で法律に基づいたものはなく、危険のある地域が網羅されているとは言いがたい状況なのである。

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