「不動産を買っちゃダメ」な土地を見極める方法 看過できない水害や地震のリスクを知るには

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かつては町丁目ごとに違うこともあったほど細かく決められていた地震保険だが、今では台地も低地も保険料は同額。水災に関してはオプションとなっており、保険料が安くなるからと水災の補償を外している人も多い。

「台風15号は風の台風で、風災は火災保険に標準で付いています。ところが雨の台風だった19号では水災の補償の有無で大きな差が出ました。都市の高台でも窪地、半地下、地下に機械室があるなどの場合で被害が出ており、水災補償がなく、大きなダメージを受けている人が少なくありません」(保険ヴィレッジ・斎藤慎治氏)

損害補償の見直しはいつでも可能

液状化は地震保険、傾斜地の途中でほかの家の土砂崩壊の影響を受けた場合は水災、同じ土砂崩壊でも丘の上でその家だけが流れた場合には水災に当たらず、土地の不同沈下はそもそも事故と認められないなど損害保険適用の要件は非常に複雑だ。

土地によって考えられる危険を的確に予測し、必要な補償を選択することが安心のためには必要というわけである。とくに木造住宅では保険料の高さを嫌って、水災を付加しないことが多いが、浸水があると影響は大きく、改修では済まないケースもある。

ちなみに、すでに水災補償を付けないままに住宅を購入した人でも損害保険の見直しはいつでも可能だ。月割で解約返戻金が出るので、それでより安く補償の充実した保険に乗り換えるもよし、そこまでせず水災を追加する手も。

「今では電話1本で追加できる契約もありますし、不安になったら台風直前の追加も。入ったまま放置せず、適切に見直すことで安全を担保していただきたいものです」(斎藤氏)

2020年2月7日に閣議決定された「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」では、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制や、移転の促進、防災まちづくりの推進などが盛り込まれた。国は危険な場所には住ませないという方向に舵を切ったわけだが、その成果が表れるのはまだ先になろう。それまでは、自分で安全を確認するしかないのである。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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