「不動産を買っちゃダメ」な土地を見極める方法 看過できない水害や地震のリスクを知るには

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答えは簡単だ。自分で調べればいい。東日本大震災以降、土地の歴史や、成り立ちに関する情報は増加かつわかりやすくなっており、深い知識がなくとも調べられるようになっている。

具体的に見るべきは最低2つ。1つは、細かい部分での問題はあるものの、必ず押さえておきたいのが国土交通省のハザードマップポータルサイト。ここにある「わがまちハザードマップ」には、各自治体が作っている各種のハザードマップへのリンクが貼られており、それを見ればその地域にどんな危険が想定されているかがわかる。

過去に何があったか調べられるサイト

それを踏まえ、次に見るべきは「今昔マップ on the web」である。これは埼玉大学教育学部の谷謙二教授が作っているもので、大きな特徴は、現在の地図と明治時代からの地図を2枚(4枚も可能)並べて見られること。

2つを並べ順に時代をさかのぼって見ていけば、自分が住もうとしている土地に過去に何があったか、埋め立てや造成などの改変がいつ頃行われたのか、などがわかる。左側に配される旧版地図の上に置いたカーソルに従って右の地図上のマークも動くようになっているので、道路や鉄道などがない昔の地図でも、それが現在のどこに当たるのかは誰にでもわかる。クリックすれば標高も表示される。

また、旧版地図だけではなく、色別標高図(標高がわかる)、治水地形分類図(平野部河川流域の詳細な地形がわかる)、シームレス地質図(土地の成り立ちがわかる)などを並べたり、重ねたりすることもでき、特定の土地の過去を探るのに必要な情報がほぼまとめられている。もちろん、地図自体の誤差もあり、しゃきっと線を引いてここが絶対に安全と言い切れるようにはならないが、さまざまな情報を積み重ねることで精度は高くなる。

そのうえで、現地で土地の高低などを視認したり、GPSを利用して確認するなどし、一戸建ての場合には地盤調査を行うようにすれば漠然と選ぶよりは安全な住まいになる。

加えて、わが家のある土地を知ることで適切な保険を選べるようにもなる。ご存じのように住宅購入時にはローンの担保となる住宅にもしものことが起こらないよう、住宅火災保険加入は必須。だが、2001年の保険自由化と代理店の高齢化から損害保険では要件の簡素化が進んでいる。

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