「不動産を買っちゃダメ」な土地を見極める方法

看過できない水害や地震のリスクを知るには

台風19号時に世田谷区や川崎市では内水氾濫が発生し、その危険性は広く知られるようになったが、近年その原因である大雨や短時間強雨(1時間に50mm以上の降雨)の発生は増加傾向にある。河川から離れた地域でも起こる可能性があるため、ハザードマップは必要なはず。同様に台風19号では水防法が浸水想定区域図を作らなくてもよい、としていた中小河川43カ所でも氾濫が起きており、ハザードマップにないからと安心できる話ではない。   

それ以外にも10m、50mなどと、ある一定距離のメッシュで表示されるハザードマップの精度や、上流のダムや水門など人間が関与する部分で生じる誤差などもある。説明にあたる不動産会社のハザードマップや、災害の理解度という問題もある。そう考えるとハザードマップは全能ではなく、逆にそれで安心してしまい、備えなくなるほうが危険とも言える。

沼沢地が明示されている例はほぼない

また、ハザードマップ以前に不動産に関わる多数の施策や規制、不動産業者の関わる範囲が主に建物にしか及んでいないことを知っておく必要もある。不動産取引では災害時に気になる土地の歴史については説明されないし、説明の義務すらない項目もあるのだ。

例えば水害はもちろん、地震時には液状化の危険が想定される沼沢地。「不動産の表示に関する公正競争規約の表示規約施行規則」には、土地が沼沢地である場合にはその旨を明示することと記載されている。だが、首都圏不動産公正取引協議会事務局長の佐藤友宏氏は、「30年近くにこの仕事をしていますが、これまで一度も沼沢地が明示されている例は見たことがありません」という。

埋立地にも同様の不安があるが、重要事項説明の項目には入っていない。「買主や借主が『対象物件が埋立地かどうか確認してから買いたい、借りたい』というリクエストした場合なら備考欄など追加的な説明事項として入れることはあるかもしれませんが」(永幸不動産・森下智樹氏)という状態なのである。

もちろん、土地が不動産の安心につながることの認識はされている。「住宅性能表示制度で建物が最上級の等級だとしても『だから地震にも安心な住まいです』という表示が時として優良誤認とされるのはそのため」(佐藤氏)だ。建物が堅固でも、土地の状態がわからなければ、本当に安心かどうかはわからない。建物が支え合うことで地震に抗することは理解されているのだ。

しかし、それでも土地の危険についての説明や表示が現時点で行われていないのは危険をピンポイントで指摘するのが難しいからだ。危険とされるメッシュの中に家があっても、土地の高低やその他の条件次第で、道1本隔てて浸水、倒壊が別れる可能性があるのだ。

ここからわかるのは不動産取引で今後、ハザードマップが提示されるようになったとしても、それだけで満足していてはわが家の安全はキープできないということである。では、どうすればよいか。

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