これだけは押さえたい「大災害でもらえるお金」 知らないと損をする"生活再建"のための税制
計算した結果、損失が大きく、その年の所得から控除しきれない場合は、翌年以降に繰り越せることも忘れないようにしましょう。自宅、家財(家具など)、自動車(生活用)財産の損害が対象となります。
災害によって住宅や家財に損害を受けたときは、災害減免法により所得税が軽減免除されます。災害のあった年分の所得金額が1000万円以下であれば、災害によって受けた損害額が住宅または家財の価額の2分の1以上となった場合が対象です。
所得が1000万円以下の場合は、雑損控除との二者択一。1000万円超の場合は、雑損控除のみ適用となります。
ほかに、被災自動車に係る自動車重量税の特別還付などの制度があります。住宅再建用の制度としては、(1)住宅ローン減税の適用の特例、(2)住宅の再取得などに係る住宅ローン減税の特例、(3)被災者が取得した住宅取得等資金に係る贈与税の特例、などがあります。
制度が多岐にわたるため、説明は割愛します。これら制度の周知に関しては、罹災証明書の発行タイミングなど、自治体からの情報提供が望まれます。
確認しておきたい損害保険
近年、大規模災害が増える中でぜひ備えておきたい自助の取り組みが、火災保険をはじめとする損害保険です。
火災保険は住宅ローンを借りるときの必須条件ですし、賃貸住宅においても契約時の加入を求められます。自動車保険については購入の際に加入することが多いので、「入らなければならない保険」という認識の人が多いようです。
一方で、入らなければならないけれど、内容は問わないという人が多いのではないかと思います。ファイナンシャルプランナーである筆者の元にも、火災保険をどうすべきか、自動車保険をどうすればよいか、といった相談依頼は皆無です。
そもそも自然災害を想定して、火災保険や自動車保険を検討する人は少ないでしょうから、最近の風水害では保険の有効期限(保険期間)が過ぎていたり、補償の対象外であるケースが散見されます。直近では2019年の台風15号・19号で保険の期限切れ、風水害は補償の対象外というケースがありました。
火災保険については一時期、火災保険の水災外しという技術が喧伝されました。主にマンションの契約に水害をつけないことで保険料を下げるというテクニックです。しかし、実際はマンションであっても水害の被害は発生しますし、安全と思われた地域での河川の氾濫、内水氾濫もあります。
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