ゲームの新巨人「ネクソン」爆速成長が続く理由 時価総額2兆円!社長が語るエンタメ大転換

✎ 1〜 ✎ 148 ✎ 149 ✎ 150 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

3つ目がグローバルな産業の変化だ。エンタメ業界全体として、メディアはオフラインからオンラインへと移りつつある。つれて、映画や音楽、スポーツといった一方向のメディアから、ゲームや「TikTok(ティックトック)」のような双方向のメディアへの転換が進んでいる。

――こうした変化は新型コロナの影響も大きいですか。

変化はすでに起こっていたが、コロナの感染拡大によって一層明白になった。大手メディア企業はハリウッドをエンタメ業界の中心だと考えている。ただ俳優のブラッド・ピットは今働いていない。映画を作れないからだ。人々はまだネットフリックスを観ているが、やがてコンテンツが尽きてしまう。

オーウェン・マホニー(Owen Mahoney)/1966年、アメリカ・サンフランシスコ生まれ。2000~2009年に世界的ゲーム開発会社、米エレクトロニック・アーツで経営企画担当シニア・バイス・プレジデントとして大規模M&Aなどを統括。2010年にネクソン入社、取締役CFO(最高財務責任者)に就任。2014年3月から現職。1990年代に日本での在住経験があり、日本語も堪能(写真:ネクソン)

このような状況でもコンテンツを作り続けているのは誰か。それはゲーム会社だ。将来、2020年を思い出して、これがエンタメ業界の転換点だったと振り返るだろう。これからは強力な世界的IP(知的財産、キャラクター)を持ち、あらゆるインタラクティブなメディアで生かせる企業が圧倒的な勝者になる。

実際、(ネクソンにとって最大のIPである)アラド戦記がこれまでに生んだ売り上げはこれまでに150億ドル以上。これは映画『スターウォーズ』シリーズ全作品の興行収入を数十億ドル上回っている。

メディアの中心がゲームに移りつつある

――新型コロナの感染拡大は、エンタメ業界を具体的にどのように変えたのでしょう。

今年1月の時点でグローバルなエンタメ業界の王座に君臨していたのは、明らかにディズニーだった。だが半年がたった今(編集部注:6月下旬)、映画制作は止まり、テーマパークや映画館は閉鎖され、スポーツの試合も開催できない。多くのビジネスが止まってしまった。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

コロナの影響で、物理的なテーマパークと、われわれのメイプルストーリーやアラド戦記のような“バーチャルテーマパーク”の違いがはっきりした。もっともこの2~3年はゲームビジネスが一方向のエンタメよりも3倍近く大きく成長した。

ゲームは収益性も高い。ネクソンは30~40%の営業利益率を出しながら、コンスタントに成長している。(動画配信サービスを手がける)ネットフリックスはアメリカで最大かつ最も重要なメディア企業だと考えられているが、2019年、彼らはフリーキャッシュフローが30億ドルのマイナスだった。メディア業界の中心がゲームへと移りつつある。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「頭打ちの日本のスマホゲーム市場」「ネクソンが急成長した背景」などについても詳しく語っている。
中川 雅博 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事