3つ目がグローバルな産業の変化だ。エンタメ業界全体として、メディアはオフラインからオンラインへと移りつつある。つれて、映画や音楽、スポーツといった一方向のメディアから、ゲームや「TikTok(ティックトック)」のような双方向のメディアへの転換が進んでいる。
――こうした変化は新型コロナの影響も大きいですか。
変化はすでに起こっていたが、コロナの感染拡大によって一層明白になった。大手メディア企業はハリウッドをエンタメ業界の中心だと考えている。ただ俳優のブラッド・ピットは今働いていない。映画を作れないからだ。人々はまだネットフリックスを観ているが、やがてコンテンツが尽きてしまう。
このような状況でもコンテンツを作り続けているのは誰か。それはゲーム会社だ。将来、2020年を思い出して、これがエンタメ業界の転換点だったと振り返るだろう。これからは強力な世界的IP(知的財産、キャラクター)を持ち、あらゆるインタラクティブなメディアで生かせる企業が圧倒的な勝者になる。
実際、(ネクソンにとって最大のIPである)アラド戦記がこれまでに生んだ売り上げはこれまでに150億ドル以上。これは映画『スターウォーズ』シリーズ全作品の興行収入を数十億ドル上回っている。
メディアの中心がゲームに移りつつある
――新型コロナの感染拡大は、エンタメ業界を具体的にどのように変えたのでしょう。
今年1月の時点でグローバルなエンタメ業界の王座に君臨していたのは、明らかにディズニーだった。だが半年がたった今(編集部注:6月下旬)、映画制作は止まり、テーマパークや映画館は閉鎖され、スポーツの試合も開催できない。多くのビジネスが止まってしまった。
コロナの影響で、物理的なテーマパークと、われわれのメイプルストーリーやアラド戦記のような“バーチャルテーマパーク”の違いがはっきりした。もっともこの2~3年はゲームビジネスが一方向のエンタメよりも3倍近く大きく成長した。
ゲームは収益性も高い。ネクソンは30~40%の営業利益率を出しながら、コンスタントに成長している。(動画配信サービスを手がける)ネットフリックスはアメリカで最大かつ最も重要なメディア企業だと考えられているが、2019年、彼らはフリーキャッシュフローが30億ドルのマイナスだった。メディア業界の中心がゲームへと移りつつある。
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