国内広告最大手・電通に逆風が吹いている。
まず、新型コロナウイルス対策の持続化給付金の手続き業務をめぐり、経済産業省から委託された民間団体「サービスデザイン推進協議会」が、業務の大部分を電通に再委託していたことが明らかになった。
経産省は給付金の業務委託先として、一般競争入札を経て同協議会と769億円で契約。その大部分を電通が749億円で再び請け負った。経産省と協議会、電通の関係や取引の透明性などについて、問題視する声が広がっている。
給付金の業務受託は適正だったのか
給付金の業務委託プロセスは適正だったのか。電通広報部は東洋経済の取材に対し、「業務執行に当たっては、経済産業省が定めるガイドラインを順守している。事業予算額が当社に支払われるとは限らない。ガイドラインに基づき、業務完了後、業務実績に応じて精算を行う。そのため、当社への支払額は未定だ」などと回答している。
電通に直接発注されなかったことで取引が不透明になったのではないかという指摘に対し、梶山弘志経産相は6月2日の記者会見で、「過去に電通が補助金などの交付事務を直接受託した際に、受け取り側の事業者が国の制度に応募したはずなのに振り込み元が電通になっているなどといった問い合わせが集中した。そうしたこともあり、電通は直接受託しない原則になったと聞いている」と説明している。
電通にとって、国や官公庁は重要な顧客だ。2020年1~3月の顧客業種別売上高を見ると、「官公庁・団体」は328億円で全体の売上高4510億円の7%強を占める。情報通信、金融、飲料、外食に次ぐ5番目の大きさで、東京五輪関連の案件が膨らんだこともあるが、伸び率は前年同期比約7割増と全業種で最も大きい。
ただ、電通はこの問題だけに時間を取られている場合ではない。広告業界は今、コロナ禍で大打撃を受けているのだ。
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