電通業績不振、コロナと給付金騒動が追い打ち 五輪延期も打撃、本社の爆破予告まで発生

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持ち株会社である電通グループは5月27日、2月に発表した2020年12月期の業績予想を撤回し、「未定」に変更した。新型コロナの影響を受けた多くの企業で広告出稿を手控える動きが広がっているためだ。

「現在のマーケティング需要の減速は、かつて経験したことのないものだ」。同日開催した2020年1~3月期の決算説明会で、電通グループの山本敏博社長はそう語った。実際、4月の売り上げは国内、海外ともに前年同期比で20%近く落ち込んだという。

止まらぬテレビ広告の落ち込み

コロナ禍以前から、電通グループは国内外で逆風にさらされていた。国内では売上高の3分の1強を占めるテレビ広告の減少が止まらない。2019年12月期は前期比4%減、この1~3月も2.8%減に沈んだ。「ネットへの予算のシフトと言わざるをえない」(電通グループ幹部)。コロナの影響が本格化した4月以降はさらに落ち込む公算が大きい。

頼みのインターネット広告も冴えない。2019年12月期は前期比3割近い伸びを見せたが、2020年1~3月は大口顧客の失注が響き、同2.7%の減少となった。コロナの影響は例外ではなく、出稿する広告主が減っているうえ、「(1クリック当たりなどの)広告単価が2割ほど下がっている」(電通グループ子会社幹部)。

電通がマーケティング専任代理店を務める東京オリンピック・パラリンピックの延期も痛手だ。1~3月こそスポーツイベントの運営を担う子会社・電通ライブが聖火リレーなどの案件が重なって前年同期比約5割増と躍進したが、延期が決まった3月末以降、イベント中止の影響を受けている。

電通グループの国内事業を統括する電通ジャパンネットワークの五十嵐博CEO(国内の電通社長を兼任)は決算説明会で、「(五輪関連の)人件費に関しては今年終了できず、来年までかさむため注視する必要がある」と話す。電通は五輪開催に合わせて有期雇用者を相当数確保しており、1年の延期が大きな負担となる。

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