ゲームに熱中する子に対する「3つのタブー」 児童精神科医に「付き合い方」を聞いてみた

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――一方でゲームが持つ有用性については?

ゲームのよいところは、大きく4つあると考えています。

1つ目は「ゲーム上手はヒーローである」ということ。ゲームが上手な子は彼らの世界で一目置かれます。それ自体が友人関係などにおけるストレスから自分を守る保護因子になるわけです。

2つ目は「チャレンジへの耐性がつく」ということ。ゲームによっては試行錯誤を何度も繰り返さないと先に進めないものもありますので、ゲームを通じて身に付く力だと思います。

また「ゲームは子ども世界の共通言語である」ということ、これが3つ目です。逆に言えば、ゲームをまったくやらずに子どもの世界を生きていくというのは、現実問題として非常に難しいんです。

最後に「離れた友だちと一緒に遊べる」ということ。コロナ禍のステイホームにおいて、ゲームがその機能を果たしていたのは、子どものメンタルヘルスから考えると非常に大きな意味があったと私は考えています。

最近はオンラインゲームをする子どもも増えていますので、もう少し話をすると、「見ず知らずの人とオンラインゲームでつながることはよいのか?」と心配されている親も多いと思います。

不登校の子どものなかには「学校に居場所がない」と感じている子がいます。そんな彼らがオンラインゲームに居場所を求めるということも少なくありません。

同じゲームが好きという共通項を持つ人同士でゲームを楽しみ、文字や音声などのチャットを通じてコミュニケーションする。

そうしたやりとりのなかで、子どもの内側に少しずつ元気がたまっていくと、いずれオンラインゲームを「卒業」し、リアルの世界に戻っていきます。そういう子どもを私は何人も診察室から見送ってきました。

ゲームになじみがない親からすると、オンラインゲームに対する拒否感は少なからずあると思います。しかし、私の経験では、親がオンラインゲームに寛容であればあるほど、子どもの「卒業」が早いんです。

オンラインゲームには、子どもと現実世界をつなぐ中間の場所として機能している側面がある。これもゲームが持つ有用性のひとつだと私は考えています。

ゲーム障害?

――子どもの好きにさせていては「ゲーム障害」や「ゲーム依存症」になるのでは、と心配されている親の声もよく聞きます。

WHOが2019年に「ICD‐11」という国際疾病分類に「ゲーム障害」を正式認定したことや、今年4月に香川県で施行されたゲームの規制条例なども相まって、心配されている親御さんは確かにいらっしゃると思います。

「ゲーム障害」というのは、行動の嗜癖と言われる状態のことです。ゲームの開始・終了など時間のコントロールができなくなっている状態であり、かつゲームが生活の中心になっており、家庭や職場または学校などで問題が生じている状態が、ある程度長期間(基準は12カ月)続いている、それを「ゲーム障害」と診断しましょうというものです。

次ページケースの大半は「ゲームに熱中せざるをえない理由」がある
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