中国の勤勉な労働者たちに感染が広がった真因 アリババ本社もある浙江省は武漢と深い関係

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温州商人を代表とする浙江省の商人たちは、普段は外地を飛び回っている分、年に1度の春節は何としても帰省しようと考える傾向が強いという。その強い望郷の念が、ウイルスを浙江省にさらに流入させることにもなったと考えられている。

武漢市では、新型コロナの危険性が公になる直前の1月18日に4万世帯以上が参加して開かれた地域住民の大宴会が感染拡大に拍車をかけたとみられているが、同時期に武漢市から帰省した人々が、親戚や友人との宴会を通じて、感染を飛び火させた。浙江省でも、武漢帰りの人が参加した飲み会やイベントがクラスターの起点となった。それは歓送迎会シーズンに、海外帰国者が感染を広げた日本の光景と重なる。

テクノロジーで感染爆発を抑え込む

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ただ、実は浙江省は患者が1200人以上いるにもかかわらず、公式発表の死者は1人にとどまっている。1月末から2月初めには武漢からの流入で多数の感染者が出たものの、2月中旬に入ると感染者は激減し早期に抑え込みの効果が表れたのは、「健康コード」に代表されるテクノロジーの活用も関係しているだろう。

また、温州市は高速道路の料金所を封鎖したほか、生活必需品の買い出しのための外出は、2日に1度、各世帯1人に制限するなど、市民の生活の利便性より感染拡大防止を優先した。

流通が命の商人都市にとって、人や物の流れを止める痛みは甚大だが、新型コロナの傷口をそれ以上広げないために強硬手段に出たのも、商人都市らしい判断だったと言える

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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