中国の勤勉な労働者たちに感染が広がった真因

アリババ本社もある浙江省は武漢と深い関係

その浙江省の商人文化の象徴的な都市が温州市だ。同市では2月16日時点で新型コロナの感染者が500人を超え、その数は湖北省以外では最多となった。日本の外務省は14日、温州市について感染症危険情報で渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げた。

温州市の感染蔓延は、同地のビジネス構造と大きく関係している。かつて農村だった温州。1980年代に農民が家庭で日用品や軽工業品を生産し始め、さらにはそれを売るために中国の他の都市や海外に出ていくようになった。

生産・流通の両方の機能を持つ彼らは行った先々で「温州商会」と呼ばれる強いネットワークを形成し、ビジネスを拡大して富を形成した。温州商人が目を付けた開拓地の1つが、武漢だ。沿岸都市より成長が遅れていたため土地や人件費が安く、一方人口は多い。例えば武漢温州商会の羅雲遠会長は1980年代、16歳のときに武漢から温州に移住した。

武漢と深い関わりがある温州商人たち

露天の物売りや工場作業員などで生計を立て、独立。温州で生産した電器・電工材料や服飾製品を武漢で販売し、次第に事業規模を拡大していった。彼は今、武漢でスーパーチェーンを経営し、工業団地にも出資する著名経営者だ。

武漢経済と温州のつながりは深く、中国メディアによると18万人の温州商人が武漢で商売を営み、また、温州の企業にも湖北省出身者が33万人いるという。春節時期には武漢で働く温州の人々が一気に故郷に戻る。地元メディアによると、武漢が1月23日に封鎖される前はもちろん、封鎖後も湖北省から温州市への移動は途切れず、同市の副市長は「温州の新型コロナ発症者と武漢から温州への帰省者の数は正比例している」と述べた。

浙江省で1200人以上が新型コロナに感染したのは、ジャック・マー氏に象徴される商人たちの開拓者精神、その結果としての武漢との濃厚な関係、さらにもう一点が指摘されている。

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