ネット中傷に「渦中の企業」はどう向き合うか 法規制強化だけでは片付かない深刻な問題

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
SNS上の誹謗中傷問題に対し、SNSの運営企業はさまざまな対策を打ち出している(写真:mits/PIXTA)

健全な議論か、それとも悪質な“口撃”か――。女子プロレスラー・木村花さんの死をきっかけに、SNS上での誹謗中傷を問題視する声が一層強まっている。虚偽情報の拡散、脅迫などの被害を受けているケースでは、発信者情報の開示請求や訴訟に乗り出すなど、泣き寝入りせず具体的なアクションを起こす著名人も増えてきた。

こうした流れを受け、煩雑な開示請求手続きをサポートするサービスも登場している。インターネットセキュリティー関連のサービスを手がけるイー・ガーディアンは6月、「SNSリスク投稿対策サービス」の提供を開始した。

ここでいう開示請求とは、プロバイダ責任制限法(プロ責法)第4条に基づく情報開示請求のこと。インターネット上で他者を誹謗中傷するような表現やプライバシー侵害を行った発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)について、プロバイダ(サービス提供者など)に対して情報の開示を求める制度だ。

ただ、サービス運営者に任意の開示を求めるにしても、裁判手続きに打って出るにしても、権利侵害があったことを証明する証拠の収集・提示が必要になり、請求プロセスは複雑だ。

イーガーディアンのサービスでは、監視対象者の名称などで関連するSNSの投稿を収集、内容のチェックをし、名誉棄損や誹謗中傷になりそうな投稿をURLや画像で保存。依頼企業が情報開示請求などを求める場合、必要に応じ弁護士事務所と連携する。パトロールから被害が疑われた後のアクションまで一気通貫で提供するのがウリだ。

一般に向けたSNSトラブル解決支援も

「膨大な投稿の中から誹謗中傷に関わる文脈を抽出するリソースとノウハウが必要な作業。企業や個人が独自に対策するには限界があり、依頼いただくケースが多い」(イー・ガーディアン広報)。商品、ブランドに関する情報発信やユーザー接点としてSNSを活用する企業のほか、 社長など企業の関係者がSNSを活用する企業、芸能事務所(所属タレントのSNS)や、テレビ局(番組出演者のSNS)の案件も想定しているという。

広く一般に向けたSNSトラブル解決支援のサービスも登場している。デジタルリスクの検知・解決のソリューションを提供するエルテスは、ネットトラブルを抱える消費者と、ネット中傷に強い弁護士をつなぐプラットフォームサービス「ネット中傷解決くん」の提供を開始。誹謗中傷以外に、リベンジポルノやプライバシー侵害などの被害案件にも対応する。

こうした第三者的な支援サービスが増えていることからも、ネット空間における悪質な行為を「許すまじ」とする雰囲気がますます高まっていることが伺える。では、当の”現場”となっているプラットフォームサービス運営者は現状をどう認識し、対策しているのか。

次ページツイッタージャパンの取り組み
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事