「痴漢レーダー」でわかった"危ない曜日"の特徴 周囲の「第三者」こそ知って助けてほしい
警察庁の調査によれば、痴漢の検挙件数は年間でおよそ3000件。被害に遭っても1割しか被害届を出さず、相談もしていないのが現実だ。
「7万人のユーザーのうち、1カ月のレポート数は800件ぐらい。そこから推計すると、あくまで参考値ですが、実際の被害は65万件程度あるのではないかとみています」(片山さん、以下同)
レポートは痴漢が約6割を占め、次点が盗撮で3割。ぶつかり被害などがこれに続く。
またレポートからは、痴漢をめぐる傾向も読み取れる。
「乗降客数の多いターミナル駅、なかでも池袋、新宿、渋谷の各駅は、被害報告でもトップ3を占めています。ただ、池袋は痴漢が多発する一方、新宿や渋谷はぶつかり被害が多い。駅の構造に問題があるのかもしれません」
被害が増えやすいタイミングというのもある。
「月曜日がやや少なくて、金曜日に向かって被害が増えていく傾向にあります。これは週末になるにつれストレスが高じていき、その誤った対処法として、痴漢や盗撮行為を働いていると専門家が指摘しています。また、センター試験や入学式のような、絶対に遅刻できない日を狙って加害が行われることもあります」
薄着の季節に痴漢が増える、男性は被害に遭わない──。こうした「噂」もまことしやかに言われてきたが、
「夏休みに入ると通勤・通学が減るので、夏は被害が少ないのです。私どものアプリは男性も利用されていますし、実際に男性から寄せられた被害レポートもあります」
JR東日本も通報システムを開発
こうしたアプリを使った痴漢防止対策が鉄道会社からも登場。JR東日本は、スマホの専用アプリを使って痴漢被害を車掌に通報するシステムを開発、今年2月から3月中旬にかけて埼京線沿線で実証実験も行っている。
「お客様が列車内で痴漢行為を受けた際に、車内放送で注意喚起を図り、周囲のお客さまに気づいていただくことがひとつの対策になると考え、開発に着手しました」(JR東日本・広報部、以下同)
その仕組みはこうだ。電車内で痴漢に遭ったとき、スマホの専用アプリから「通報」ボタンを押して車掌に報告すると、車内放送で痴漢発生のアナウンスが流れる。それにより周囲にいる乗客も被害を知ることができるという。