仕事がつらい人は「慣性の法則」に乗れていない 超簡単!数学的思考が人生をラクにする

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ここまでは、加速度を上げるためにはより大きな力(エネルギー)が必要になるという話をしてきました。しかし「F=ma」という式から得られる知恵はそれだけではありません。たしかに、左辺のF(力)が大きければ右辺のa(加速度)も上がりますが、この式にはもう1つ「m(質量)」という要素があります。

では、同じ力で加速度を上げるには、どうすればよいでしょうか。文系人間でも、これぐらいの数式はわかるでしょう。

力=質量×加速度なのですから、左辺の大きさをそのままにして加速度を大きくするには、質量を減らすしかありません。式を見なくても、これは感覚的にわかるはず。ボウリングのボールとテニスボールを同じ力で投げれば、軽いテニスボールのほうがより加速するのは明らかです。

ですから、加速度をつけて早く慣性の法則に乗ろうと思ったら、「積み荷」を少し降ろして「m」を小さくするのも1つの方法。

例えば勉強でも、自分にとって「荷」の重い科目から始めると、なかなか加速しません。同じエネルギーを使うなら、荷の軽い科目から始めて思い切り加速してから、その勢いで荷の重い科目に取りかかったほうが楽に乗り切れるのではないでしょうか。

ハイデガーを降ろして、人生が加速した

私自身、こんな経験があります。

大学院生時代に、私はある読書会に参加していました。ハイデガーの『存在と時間』を原書で読むという会です。そもそも難解な哲学書をドイツ語で読んで理解しようというのですから、極めて荷の重い勉強であることは言うまでもありません。しかもそれに加えて、メルロ=ポンティを原書で読む会にも参加していました。こちらはフランス語です。

ものすごいエネルギーをかけなければなりませんでしたが、それぐらいの負荷をかけて自分を鍛えなければ、立派な論文を書くことはできないと思っていました。当時の私は、歴史に名を残すような偉大な思想家になりたいという野心に燃えていたのです。

しかし、最初は「やってやるぞ」と意気込んでいたものの、何しろ難しいのでなかなか勉強が進みません。巨岩にしがみついてウンウン押しているのにビクとも動かず、ただ時間とエネルギーだけが失われていくような感じです。

そして、あるときふと我に返りました。「自分はこんなことに力を使っている場合なのだろうか?」。

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