仕事がつらい人は「慣性の法則」に乗れていない

超簡単!数学的思考が人生をラクにする

スランプになっているなと思ったら、そのときの傾きに目を向けてみる。微分的発想で自分を観察してみれば、スランプにもわずかな傾きの変化があるはずです。苦しいときを乗り越えるためのものの見方の1つです。

慣性で動けない新入社員はアクセルを踏み込もう

微分によって得られる変化率のことを、ここまで「傾き」という言葉で表してきましたが、これを物理学的な言葉を使うと「ある瞬間の速度」ということができます。

文系人間の多くは忘れてしまったと思いますが、高校の物理では、どんな人の人生にも役に立つ重要な式を教えてくれます。これを発見したのは、ニュートンでした。

F=ma

この超シンプルな方程式は、運動方程式。物理学の基本中の基本。

「F」は力、「m」は物体の質量、そして「a」は加速度。同じ物体を動かす場合(質量mは変わらないので)、加速度が大きいほど力は大きくなりますし、逆に力をかければかけるほど加速度は大きくなるわけです。

この法則は物体の運動以外にも応用できます。

勉強であれスポーツであれ仕事であれ、人は自分のやることに対してつねに大きなエネルギーを傾け続けることはできません。思い切り力を入れなければいけないときもあれば、力を抜いて楽に流しても順調に進むときもあります。人生をうまく運ぶには、エネルギーや力の適切な配分が必要でしょう。

大きなエネルギーをかけなければいけないのは、自動車の加速と同様、物事のスタート時です。例えば学校の勉強なら、春休みのうちに次の学年で習うことを一生懸命にやっておくと、4月からの毎日が楽になる。最初にエネルギーを使って思い切り「加速」しておけば、あとは慣性の法則が働くので省エネで行けるのです。

新卒で会社に就職した人たちも、この法則を知っておいたほうがいいでしょう。何しろ昨日まで学生だった人間が初めて社会人として仕事をするのですから、しばらくは多大なエネルギーを投入して加速しなければならないのが当然です。

その段階で、周囲の先輩社員と自分を比べてもあまり意味がありません。何年もその会社で働いている人たちは、とっくの昔に慣性の法則に乗っています。新卒の自分と同じように全力でアクセルを踏んでいたら、そのほうが問題でしょう。

そこで「自分ばかりこんなに大変な思いをするのは耐えられない」と思ってしまう人が、入社してすぐに会社を辞めてしまうのかもしれません。でも「F=ma」と慣性の法則を知っていれば、「このアクセル全開状態はいつまでも続くわけではない」と信じることができるでしょう。いずれ先輩社員たちのように、スイスイと日々を送れるようになるはずだと思えれば、頑張って加速に力を入れることができます。

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