仕事がつらい人は「慣性の法則」に乗れていない 超簡単!数学的思考が人生をラクにする

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しかし、もし微分的思考のできる先生や親がついていたら、どうでしょう。成績が上がっているときでも、その勢い(傾き)がやや鈍っていることに気がついたかもしれません。バブル崩壊前の予兆に気づいた株の専門家が「いまは買いより売り」と判断できたのと同じで、その時点で危機感を持つことができれば、成績ダウンを食い止めるためのアドバイスができるわけです。

スランプには「微分的思考」で

これはスポーツの指導者にも求められる思考法でしょう。

私は20代の頃に、テニスのコーチをやっていたことがあります。担当している子どもたちのプレーを継続的に見ていると、たまに「あれ? ちょっと停滞期に入ったな」と気づくことがありました。先週まで順調に上達していたように見えたのに、その日の瞬間的な勢いだけ見ると、何か物足りなさを感じるのです。

逆に、いくら練習してもなかなか上達しない子どものプレーに瞬間的な勢いを感じることもありました。

いずれも、そこで何らかのターニングポイントを迎えているということです。

私はたまにそれに気づく程度でしたが、本当に優秀なコーチにはつねにそれが見えているのではないでしょうか。そんな微分的思考のできる指導者に恵まれた選手は幸せです。

テニス部でも柔道部でも体操部でも、部活で一生懸命に練習に励んでいるのに結果が伴わず、嫌気がさすようなことはよくあるでしょう。もしかしたら、「自分はもうこれ以上は伸びないので部活をやめたい」などと言い出すかもしれません。でも、微分的思考のできる顧問は、諦めかけた部員をこんなふうに励ますことができます。

「いまやめたら、ここまでの練習が無駄になるよ。いまは結果が出ていないけど、キミは一気に伸びるところに差しかかっている。あと2週間、遅くとも1カ月後にはまわりが驚くぐらい急成長するから、もう少しだけ続けてみよう」

微分的思考のできる人は、これまでの変化率に惑わされずに、さまざまな変化がこれから「上り坂」に向かうのか、それとも「下り坂」に向かうのかを見極めようとするのです。

すべては変化するのですから、いいときに油断してはいけないのと同じように、悪いときに諦める必要もないのです。

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