日米韓台を俯瞰して見えた「プロ野球」の窮状

ウィズコロナで迫られる4カ国の大きな決断

5月8日からは1000人を上限とした有観客試合に移行。観客導入に際して「入場時の体温検査」「入場時の消毒作業」「行列時のソーシャルディスタンスの確保」「場内でのマスク着用義務付け」「観客の実名表記(健康申告書の提出)」「試合中の観客の間隔確保(CECCが定めた基準に基づいて前後1席・左右2席の間隔を空ける)」「座席の移動自粛」「飲食禁止」が定められた。チケット販売は当初、ファンクラブ会員が優先された。

その後、5月15日からは1試合当たりの観客数が最大1000人から同2000人に拡大。飲食も一部認められた。さらに、6月7日からは最大収容人数の約4割の入場が可能になった。

今年から楽天が資本参加した楽天モンキーズ(旧Lamigoモンキーズ)の本拠地・桃園国際棒球場の場合、最大収容人数は2万人だから入場可能な観客数は8000人となる。昨年のCPBLの観客動員はLamigoモンキーズの平均7307人が最多だった。実質的にCPBLは、ほぼ昨年並みの観客動員が可能になったのだ。

筑波大学硬式野球部出身で、CPBLや日本の独立リーグでもプレーし、現在は台南市で野球関連会社を経営する余書農氏は、次のように語る。

「感染への不安は一時期感染者数の増加に伴い、少し緊張が高まっていた時期もあったのですが、CPBLが無観客試合から有観客になった時期には感染者数の増加も少なくなってきていたので、とくに感染への不安はなく、通常の活動を続けている状態です」

「テレビ中継(ネット中継)は思いのほか好評で、コロナの影響で外出を自粛している世帯が多いことから、視聴率の数字が上がっていると思われます。アメリカのメジャーリーグが開幕できていないことによって、外国メディアから普段より注目されているのは確かです。その対応で、ネットでは英語の解説や実況も取り入れています」

4カ国の現状を比較すると…

韓国と台湾で無観客試合からの展開が分かれたのは、何といっても国内の感染状況が違ったことが大きい。

2月から3月にかけて韓国では連日500人もの感染者が出たが、5月初旬には1ケタにまで落ち着いた。ただ6月以降は、首都ソウルを中心に連日50人を超す感染者が出ている。

KBOでは、SKワイバーンズ、トゥサンベアーズ、LGツインズ、キウムヒーローズ、KTウィズの5球団がソウル近辺を本拠地としている。それだけに、次のステップに踏み出せないでいる。

これに対し、台湾は4月に海軍の練習航海艦隊でクラスターが発生し、27人が感染したが、5月以降は海外からの渡航者を除いて、感染者はいっさい出ていない。新型コロナを“完封”しているわけだ。

新型コロナ禍では、東アジア圏は感染者数・死亡者数とも相対的に少なく、世界から見れば「優等生」の評価を得ているが、台湾はその中でも別格。日本は韓国とほぼ同じ状況だといえる。今後の取り組みは慎重のうえにも慎重を期すことが必要だろう。

台湾を「雲間から青空が見える静かな海での船出」だとすると、日本と韓国は「波こそ小さいものの、まだ雲が垂れ込めている中での船出」だといえる。その例えでいえば、アメリカのメジャーリーグ(MLB)は、荒れ狂う波風の中に船を出そうとしているということになる。

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