重要なことは、そうなったときに「社会の理解を得られるかどうか」である。とくに選手や関係者がマスクを外して飲食をしたり、不特定多数の人と交流するなどの結果として感染が発覚すれば、有観客試合の続行は厳しくなるはずだ。選手・関係者の自制が求められる。
NPBは2000人以上の選手・関係者を対象に毎月PCR検査を実施すると発表した。PCR検査の全員実施の有効性については議論が分かれるところだが、少なくとも日本社会に「取り組みの姿勢をアピールする」意味はあるだろう。
プロ野球でも台湾が「優等生」
韓国と台湾では、ひと足先にプロ野球のペナントレースが開幕している。だが、両国の現状は明暗が分かれている。
今年は5月5日に開幕した韓国プロ野球。昨年は3月23日の開幕だったから、1カ月半遅れとなった。ここからスタートして、予定どおり144試合を消化するとしている。
公式戦を開始するにあたって、韓国野球委員会(KBO)は44ページにわたる「コロナ対応マニュアル」を発表。選手の予防対策の義務化から、外部との接触を断つための動線の設定、ハイタッチや噛みたばこなどの禁止事項が細かく決められている。さらに選手・関係者が感染した際にもPCR検査を受けるなど、対応策が記されている。
KBOは、5月中旬にも有観客試合の開催に向けて会合を持つ予定だった。しかし、その矢先に、ソウルの繁華街・梨泰院のクラブからクラスターが発生。文在寅大統領が「韓国は防疫において世界をリードする国となり、『K防疫』は世界の標準となった」と成果を強調した直後だっただけに、国内のショックは大きかった。
こうした事情もあって、KBOはいまだに「有観客試合」に踏み出せないでいる。各チームの試合消化は50試合に近づいているが、観客動員はいまだにゼロだ。放映権料収入はあるものの、観客を入れることができなければ、球団の経営は厳しい。
韓国政府は6月28日にプロスポーツの制限的な入場を認めた。これを受けて、KBOは球場への観客入場が許容された場合の細部指針を追加した「新型コロナ3次統合マニュアル」を発表した。ようやく有観客試合へ向けての道筋が見えてきた状況だ。
台湾プロ野球は韓国よりもさらに早く、4月12日に無観客で開幕した。前年は3月23日開幕だったから、3週間遅れだ。シーズンは予定どおり、前後期を通して120試合を消化する。
中華職業棒球大聯盟(CPBL)は、政府の中央感染症指揮センター(CECC)が定めた「COVID-19因応指引:公衆集会」に基づいて、感染症対策計画を策定。対応の手順を定めた。これを衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)や各自治体にプレゼンテーションした。
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