――緊急事態宣言が発令中の5月中旬、JR渋谷駅、渋谷スクランブル交差点など、あらゆる渋谷のスポットで、スシローの広告を展開しました。SNS(交流サイト)では「歩いている人も少ないのに、スシローが『渋谷ジャック』した」と大きな話題になりました。
あの場所で広告を打つには半年前に抑えておく必要がある。もともとは年に1回の目玉として行う「創業祭」という販促キャンペーンをアピールし、インバウンドで訪れる観光客が多い渋谷で「スシローを世界に」というメッセージを打ち出す予定だった。
正直、キャンセルしたかったが、「それはできません」という返事が返ってきた(笑)。
だったら、このタイミングでどのようにあの空間を使うのか。考えた結果、表現をガラっと変えて急きょ「すしで、笑おう」という形で広告を展開することにした。
――コロナ前と後で広告戦略も変わるのでしょうか。
在宅時間が多くなって家でテレビを見ているかというと、パソコンの画面を見ている人が多い印象がある。
流れとしては、当然ネットのほうにいくとは思うが、テレビのような巨大なマスメディアの使い方と、どのように(広告戦略で)バランスをとっていくかは、まさに試行錯誤しているところだ。
「回転ずし」はまさに夢の世界
――ピーク時に比べるとコロナの感染者数は減っていますが、イートイン(店内飲食)の売り上げが急回復するのは難しいと思われます。それでも、「回転ずし」という業態は今後も変わらないのでしょうか。
私は変わらないと思う。
おいしいものが手軽に食べられるだけではなく、好きなものを、好きなだけオーダーできて、レーンで届くというのは、まさに夢の世界だ。
あくまですしがメインだが、麺類、揚げ物、はてはデザートまで食べられる。そういう空間はほかにはないし、イートインに勝るものはない。
――店内の回転レーンで、すしが外気にさらされ続けることを気にする人もいます。
食品が感染経路となったという報告は一切ない。そのリスクは基本的にないと思っている。
そのうえで気にされる方はもちろんいる。最後は消費者の方が選ぶということだ。今の(回転ずしという)形で楽しみたいというお客様がいる限りは、われわれはそこにミートしていきたい。
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