スシロー、コロナ後も貫く「回るすし」の意地 水留社長「イートインという空間に勝るものはない」

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――緊急事態宣言が発令中の5月中旬、JR渋谷駅、渋谷スクランブル交差点など、あらゆる渋谷のスポットで、スシローの広告を展開しました。SNS(交流サイト)では「歩いている人も少ないのに、スシローが『渋谷ジャック』した」と大きな話題になりました。

みずとめ・こういち/1968年生まれ。1991年に東京大学理学部卒業後、電通、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、ローランド・ベルガー(日本法人)代表取締役、日本航空副社長などを経て、2015年2月にあきんどスシロー社長に就任。同年3月から現職(撮影:尾形文繁)

あの場所で広告を打つには半年前に抑えておく必要がある。もともとは年に1回の目玉として行う「創業祭」という販促キャンペーンをアピールし、インバウンドで訪れる観光客が多い渋谷で「スシローを世界に」というメッセージを打ち出す予定だった。

正直、キャンセルしたかったが、「それはできません」という返事が返ってきた(笑)。

だったら、このタイミングでどのようにあの空間を使うのか。考えた結果、表現をガラっと変えて急きょ「すしで、笑おう」という形で広告を展開することにした。

――コロナ前と後で広告戦略も変わるのでしょうか。

在宅時間が多くなって家でテレビを見ているかというと、パソコンの画面を見ている人が多い印象がある。

流れとしては、当然ネットのほうにいくとは思うが、テレビのような巨大なマスメディアの使い方と、どのように(広告戦略で)バランスをとっていくかは、まさに試行錯誤しているところだ。

「回転ずし」はまさに夢の世界

――ピーク時に比べるとコロナの感染者数は減っていますが、イートイン(店内飲食)の売り上げが急回復するのは難しいと思われます。それでも、「回転ずし」という業態は今後も変わらないのでしょうか。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

私は変わらないと思う。

おいしいものが手軽に食べられるだけではなく、好きなものを、好きなだけオーダーできて、レーンで届くというのは、まさに夢の世界だ。

あくまですしがメインだが、麺類、揚げ物、はてはデザートまで食べられる。そういう空間はほかにはないし、イートインに勝るものはない。

――店内の回転レーンで、すしが外気にさらされ続けることを気にする人もいます。

食品が感染経路となったという報告は一切ない。そのリスクは基本的にないと思っている。

そのうえで気にされる方はもちろんいる。最後は消費者の方が選ぶということだ。今の(回転ずしという)形で楽しみたいというお客様がいる限りは、われわれはそこにミートしていきたい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「フルオーダー型店舗に対する見方」「自社の強み」「持ち帰りや宅配の戦略」なども詳しく語っている。
又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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