望まない妊娠に直面する若者に今必要な性教育 コロナ禍で露呈した周回遅れの日本の教育
性の問題は思春期の中高生たちにばかり目が行きがちだが、「これから本当に怖いのは、休校期間3カ月を経験した小学生」だというのは、「とにかく明るい性教育『パンツの教室』」主宰で元看護師の、のじまなみ氏だ。パンツの教室では、主に未就学児や小学生の母親向けに性教育の講座を開催している。
「3月からの休校期間、多くの子どもたちはネットの世界を知ってしまった。YouTubeやSNSなど、子どもの好きな媒体にアダルトコンテンツは侵食してきている。ネットで知った情報を行動に移したい、見たくて仕方なくなってくるのが、まさにこれから。大人から見たら、飛び降りたらケガをするとわかるのに、高いところからジャンプしてしまうのと同じで、小学生はいい悪いの判断ができず、ストッパーが利きません」
まさか小学生が、と思うかもしれないが、小学1年生でも「おんなのこ スカートのなか」とiPadで検索しているのが現実だ。Siriに話しかければ、文字を打たなくても知りたいことが動画で次から次へと出てくる。
小学生や未就学児にどこまで教えるのか
「休校期間中にゲームやネットで知り合った人と連絡を取り合っている子もいる。DMも送られてくるし、なりすまして近づいてくる小児愛者もいる。何かあったら逃げればいいと思っているかもしれないが、性教育を受けていないと、その後何が起こるか、何をされるかわかっていない」
昨年、18歳未満でSNS関連の犯罪に巻き込まれたのは2000件超。自分を守るためにも性教育は絶対不可欠なのだ。
とはいえ、小学生や未就学児にどこまで教えていいのだろうか。
「性教育は科学。言ってはいけないことは何一つない。用語が刺激的に捉えられがちだが、それは大人が卑猥なものと思っているだけ。性=恥ずかしいこと、ではなく、性教育は、子どもたちがいかに愛されて生まれ、価値がある存在かを伝えることであり、身を守る術。しかも、思春期前の子は、1回言ったくらいではほとんど覚えていません」(のじま氏)
逆に、思春期以降は親から離れたい時期なので、手短に、でもちゃんと「性教育の話をするよ」と宣言して始めることが大事だそう。
また、どうしても被害者にばかり目が行くが、加害者にならない教育も重要だと、のじま氏はいう。大人になったときに、性犯罪者にならないためだけではなく、今は未就学児や小学校でのトラブルで裁判沙汰になることも増えている。
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