望まない妊娠に直面する若者に今必要な性教育 コロナ禍で露呈した周回遅れの日本の教育

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「パンツの中を見せてと言われた子、触られた子がその後トラウマを抱えて学校に通えなくなることもある。子ども同士だからお尻や胸を触っていいわけはない。これからのご時世、知らないと全員痛い目に遭う。それは大人の教育にかかっている」(のじま氏)

のじま氏曰く、性教育において、家庭と学校のいちばんの違いは、親の愛をプラスできること。

「一人っ子、兄弟姉妹の構成、シングルマザー、ステップファミリーなど家族の形によって、伝え方はそれぞれ違う。どれだけ愛情をかけて生まれてきたか、大切な命かを伝えることで子どもたちの自己肯定感も上がります。性教育は百利あって一害なし」(のじま氏)

性教育の結果が出るのは10年後

最近は、初潮がきても親に言わない子が増えているというが、それ以上に、女子高生のやせ傾向のため無月経の子が増えているとが問題になっていると言われている。

「子どもも親も無月経のリスクを知らないし、親が子どもの生理に無頓着になっている。今、不妊が社会問題となっているが、無月経は将来の不妊につながる。愛を伝える、身を守る性教育は、人生をデザインするための教育でもある。

将来、子どもを産む産まないを自分で選択できる子になる。産むなら『おめでとう』と言われる妊娠をしてほしい。性教育の結果が出るのは10年後。人生をかけて関わっていくもの。あのとき話をしていれば……と後悔するより、10年後にありがとうと言われるほうがいいに決まっている」(のじま氏)

20年以上にわたり性教育の授業を行っている秋田県は、今転換期を迎えているという。

「当時は高い中絶率に危機感を持ち、望まない妊娠を減らすことが当初の目的だった。しかし、秋田県は少子化が進んでいる。これからは子どもたちが生命を育むことの大切さを知り、いかに望む妊娠につなげていくかも重要になる」(秋田県教育委員会保健体育課)と、避妊や中絶、性感染症以外に、“前向きな性教育”への模索を始めている。

2012年、NHKスペシャル『産みたいのに産めない〜卵子老化の衝撃』が放送された直後、「もっと早く知っていれば産めたのに……」と、まだ子どものいない30、40代の女性たちに大きな衝撃を与えた。「たら」「れば」はないけれど、もし、学生時代に体や性について正しい知識を身に付けていたなら、不妊治療の現状はどう変わっていただろうか。

性教育は、自分の身を守り、ライフイベントを選択するために必要不可欠なスキル。子どもたちが、自分で身を守り、自分の意思で選択できるようになるために、性教育への取り組みは急務だ。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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