望まない妊娠に直面する若者に今必要な性教育 コロナ禍で露呈した周回遅れの日本の教育

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ピルコンでは、3月以降、10代の妊娠相談が倍増。中高生向けの性教育サイト「セイシル」でも、4月からページビューが上昇し始め、ゴールデンウィークを境に同年3月比18倍に急増した。

「思春期の子どもたちに性教育をすることで“寝た子を起こす”という人もいるが、きちんと性教育を受けた人は性行動に慎重になるという研究結果が出ており、もはやそれが世界標準の考え方。性教育はライフスキルであり、生きていくための知恵」だと、セイシルを運営するTENGAヘルスケア取締役の佐藤雅信氏はいう。

同社セイシル担当の古川直子氏は「中高生の中では身近な存在としてアダルトビデオ(AV)があり、教材代わりになってしまっているケースもある。そのイメージから、性的同意のないセックスが強い男性像と思っている人も少なくない。また女性もノーと言えない、嫌だと言ってもやめてもらえないこともある。断片的なAVの情報よりも、医学的なエビデンスに沿った情報が身を守るためにも重要であり、リスクを下げる」。

専門家が赤裸々に回答

そのため、「セイシル」では他人事ではなく、自分事と思ってもらうために、読者から寄せられた具体的な性の悩みに、泌尿器科医や産婦人科医など、専門家である大人たちが性の情報にふたをせずに、赤裸々に回答している。

「中学校での性教育といえば男女別々が多いと思うが、それは女性の生理の話や男性のコンドームのつけ方を一緒に聞くのはハードルが高いからという声もしばしば聞かれる。しかし、女性もコンドームのつけ方を知ることは大事だし、セクシャルマイノリティーの人もいる。教える側も、学生も、親も、どういうものが必要かニーズをマッチさせる必要がある」(古川氏)

とはいえ、もっと知りたい人もいれば、知りたくない人もいる。200人向けに授業をしても、目や耳を塞いでいる子がいるのも事実。それは小さなコミュニティーになっても起こりうることで、教える側の難易度は高い。

「これは中高生に限ったことではない。セイシルを訪れる人の約7割は18歳未満だが、子育て世代の来訪も少なくなく、学び直している大人も意外にいる印象。私はもともと助産師として働いていたが、そのとき、生理や避妊、排卵日など、女性たちの知識の差の大きさに愕然とした。誰でも知らないものに対して抵抗ある。まずは自分の体のことが大事」(古川氏)

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