優秀な人が去り「ぶら下がり」増える組織の病巣 安易な離職対策で働きがい重視の人材が離職

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「離職への対策をしたい」――その思いを強くしすぎた会社の多くが、ぶら下がり社員ばかりが増えていくという問題に悩まされます。

残業時間削減、ノー残業デーなどの「働きやすさ」を増加させる施策は、取り組むべき課題および解決法が明確であり、経営者や管理職の覚悟があれば進むことが多いため、施策実行までが比較的スムーズです。だからこそ、いつしか限度を超えて働きやすくなってしまっている場合があります。このようなケースは「ぬるま湯系組織」と呼ばれます。

「働きやすさ」を追求することで採用もしやすくなり、社員は働きやすく、組織活性は上がっていきます。しかし、多くの会社で行われている離職対策は「働きやすさ」の改善施策のみであり、「働きがい」まではアプローチできていません。

そればかり行った結果、当然ながら「働きがい」よりも「働きやすさ」を重要視する社員が定着しやすくなり、意欲を持って働く社員と、働きやすさを当たり前として甘えてしまう社員の二極化が起こります。

組織のぬるま湯化を避けるために

意欲的な人の一部には、全社一斉に「働きやすさ」を与えられることで、“ほどほど”に働いている人と同じように扱われていることに対して不公平感を持つ人もいます。

マイナス感情がどんどん蓄積して「働きがい」が下がり始め、「やってもやらなくても同じなら、やらない」と考えてしまったり、「自分の能力はここでは生かせない」と感じたり、「このぬるま湯につかっていたら、自分がダメになってしまう」と不安を覚えてしまう人が現れます。

こうして、「ぬるま湯」と化した組織では、意欲的な優秀人材は自分を評価してくれて、「働きがい」がもっと感じられる職場を求めて去っていくのです。優秀人材が抜けた結果、「働きやすさ」を過度に求めるぶら下がり人材の比率が上がります。ぶら下がり人材が増えれば、組織活性は低下します。

組織のぬるま湯化を避けるために大切なのは、

①「働きやすさ」の過度の追求はぶら下がり化を招く、ということを念頭に
②「働きやすさ」と「働きがい」のバランスを取りながら
③会社として大事にしていきたい人材像(ペルソナ)を定義し、その人たちが活躍しやすい職場環境を実現させる施策を打つことに集中する

ことです。

次ページ働きやすさを上げすぎて「ぬるま湯」にする必要はない
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