優秀な人が去り「ぶら下がり」増える組織の病巣 安易な離職対策で働きがい重視の人材が離職
そもそも「働きやすい会社にすれば、みんな定着してくれる。採用も簡単になる」と思うことは危険です。離職には、今の環境が嫌だから起こる「消極的離職」だけでなく、ステップアップをするための前向きな離職(「積極的離職」)もあります。
離職=消極的離職だと考え、過度に恐れた結果、「働きやすさ」を上げすぎて「ぬるま湯」にしてしまう必要はありません。
ぶら下がり社員を増殖させないためには
とくに今回のコロナ禍の影響で、会社も社員も、この数カ月の間で「働きがい重視」から「働きやすさ重視」に傾きつつあります。
その流れに後れず在宅勤務やテレワークへの適応をしていくことも重要ですが、また数年以内に「働きやすさ重視」→「働きがい重視」への揺り返しは起こります。過度に「働きやすさ」を求めた施策の導入は、今後のぶら下がり社員の創出につながるリスクもあることを念頭に置くことが大切です。
一部の人だけの幸福度を高めていくと、不満を持つ人はそれよりも多く現れてくる可能性が出てきます。その一方で、組織に蔓延する「不公平感」を抑え込もうと「公平感」だけで組織を運営することも危険です。
行き過ぎた「公平感」は優秀な人の「働きがい」を低下させ、離職を招く危険もあります。そして、ぶら下がり社員が増殖し、組織活性を奪ってしまう結果になります。
労働価値(働く目的)がそれぞれ異なる社員全員を幸福にすることは、ほぼ不可能です。となると、組織活性を上げるためには、「どの社員たちの労働価値を満たして個人活性を上げていくのか、戦略的に優先順位を決めていくこと」が求められます。そのために必要な戦略こそ、本書で解説してきた、マーケティング思考に基づく「ターゲティング戦略」なのです。
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