アップルの新戦略、ユーザーはどうすべきか? Macはインテルから「独自チップ」搭載へ移行

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アップルシリコン搭載Macは、Mac miniの筐体に、iPad Pro向けA12Zチップを組み込んだ開発評価機が用意され、その上で今回の基調講演で発表された「macOS Big Sur」が動作する。すでに開発者は500ドルで開発機を取り寄せることができる。

マイクロソフト「Office」の文書アプリや、アドビ「Photoshop」「Lightroom」といったクリエイティブアプリは、基調講演のデモにおいて、アップルシリコン搭載のMacでスムーズに動作していた。そしてハリウッドなどでも多数採用されている映像制作のプロ向けアプリ、「Final Cut Pro」や、音楽制作の「Logic Pro」まで、iPad Proと同じチップを搭載したMac向けに移植されている。

現存するMacに採用されたアップルシリコンは、前述のiPad Proと同じチップだが、アップルはそのチップですらすでに実用的なパフォーマンスが出ていることをアピールしていた。2020年にはさらに2世代進化したチップが用意される見込みで、初号機からしてパフォーマンスへの期待は高まるばかりだ。

開発者にとってもスムーズな移行

チップ変更は、ただ採用するプロセッサーを変えて、乗せ替えるだけに聞こえるが、そんな簡単な話ではない。チップによって動作するアプリの形が異なるため、チップに合わせたアプリを開発するのが一般的だ。

しかしそこはチップ変更のベテランとも言えるアップル。自社チップのMacへの採用は、これまで数年単位で計画され、特にソフトウェア面での整備が進められてきた。

アップルはインテルからアップルシリコンへとプラットホームの転換を行うが、開発者は最新の開発ツールであるXcodeでアプリを作ることで、インテルでもアップルシリコンでも動作するMacアプリを用意できる。

アップルは2年前のWWDC18で、iPadアプリとMacアプリを1つのコードで開発する仕組み「Mac Catalyst」をアナウンスした。すでにMacに搭載されている地図やブック、株価、ニュースなどのアプリが、iPadアプリと同じコードで作られている。

多くの開発者は、Macにおけるインテルとアップルシリコン共存の2年間、そしてアップルシリコン移行後も、あまり多くを意識せずにアプリ開発を継続することができる。「Universal 2」という仕組みによって、双方のチップで動作する単一のアプリを実現するのだ。

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