「Apple Card」がシリコンバレーに与えた衝撃 利益度外視でアップルが金融に参入する理由

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なぜアップルは金融事業に参入したのでしょうか?(写真:筆者撮影)
テクノロジーがビジネスをどう変えようとしているのか。金融の機能、サービスがIT、モバイルアプリにどんどん置き換えられていくことを象徴しているのが「アップルカード」の登場だ。日本の銀行は、そんな現実に対応できるのか。
シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』を上梓した山本康正氏に、技術の最前線であるシリコンバレーの現実について語ってもらった。

「アップルペイは使えますか?」

2019年、シリコンバレーに衝撃を与えるものが登場しました。アップルが出した、「アップルカード」です。日本にはおそらく2021年以降に入ってくるのではないかと思います。

『シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私も持っていますが、一見するとクレジットカードです。しかし、よく見ると、高級感がプラスチックのカードとはまるで違います。白色のチタン製。アメリカのカード会社で年会費20万円、30万円も払うようなステータスカードに似ています。

そして、番号がない。セキュリティーを高めるために、番号が印字されていないのです。これなら万が一、落としても番号を人に知られ、ネットで使われることはない、というわけです。チップが埋め込まれており、暗証番号やサインとともに買い物ができます。

このカードは、iPhoneをはじめとしたアップルユーザーで、アメリカでの「信用スコア」が高い人に発行されます。発行も無料、年会費も無料です。

驚くべきは、このカードを使うだけでモノが安く買えることです。例えばコンビニで、レストランで、量販店で使う。どこで使っても1%割引で購入することができます。どこでも、です。ポイントバックではありません。現金にすぐできるアップルキャッシュという形での即日割引です。

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