アップルの新戦略、ユーザーはどうすべきか? Macはインテルから「独自チップ」搭載へ移行
その一方で、アップルは2010年のiPhone 4に搭載した「A4」から、独自設計のARMチップを採用した。
ARMチップは英国企業ARMアーキテクチャが設計とライセンス管理を行っており、世界のほぼすべてのスマートフォンが採用している。ARMをソフトバンクが傘下に収めたことも記憶に新しいが、実は1999年のARM設立に、アップルが参画していた。MacをARMチップで動かす可能性は、少なからず考えれられていたかもしれない。
アップルは2008年に2億7800万ドルで、PAセミという企業を買収し、iPhone、iPad向けのチップ設計を推し進めたと見られる。アップルシリコンは2010年のA4から10年で処理能力100倍、グラフィックス性能1000倍にまで性能が向上し、20億ものチップが出荷された。スマートフォン向けチップでは64ビット化の実現、7nm製造プロセスなどの技術的なマイルストーンも達成している、すでに多くの実績のあるプロセッサーだ。
これまで、インテルチップとARMを採用するAシリーズの二本立てで実装してきたアップルの製品は、今後は後者のみに一本化されていくことになる。
なぜアップルシリコンを採用するのか?
アップルはMacにおいて、「モバイルなみの消費電力」で、「デスクトップレベルの処理性能」を実現すると説明している。裏返せば、インテルチップではその実現が難しいと言っているようなものだ。
微細化は高性能化と省電力化に寄与する。最新のMacに採用されたインテルチップの微細化はようやく10nmに到達したばかりで、iPhone 11のアップルシリコンの7nmに遅れをとっている。
そうしている中、アップルがアップルシリコンの製造を委託している世界最大の半導体製造メーカー、台湾のTSMCは1月の決算発表で、5nmプロセスのチップを2020年上半期に製造開始する予定を示しており、アップルも2020年モデルのiPhone向けチップから採用する見込みだ。Mac向けには、その高性能版が使われると考えられる。
アプリケーションプロセッサーとともに、機械学習処理に高度な実力を発揮するニューラルエンジンや、機械学習処理のアクセラレータ、4Kビデオ編集を軽々とこなすエンジン、セキュリティーを保護する領域など、ソフトウェアやアプリの高速化に寄与する機能を持たせることによって、システム全体の性能を高めていくことを目指す。
その点でも、ソフトウェアを開発するアップルが、そのためのチップを開発することの効率の良さにメリットがあることがわかるだろう。
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