(第23回)大学生活でまず最初に学ぶべき学問は何か

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●哲学・クリティカルシンキングは社会で必要とされている

 日本は今、変革の時代を迎えている。高度経済成長期に日本型経営を支えた従来の成功モデルが機能しなくなり、政治も迷走を続けている。経済のグローバル化は進み、日本はその波に乗りあぐねているかのように見える。

 このような時代に生き残り、新たな成長を実現するために必要な能力は、

1.これまでのやり方、考え方、前提条件に批判的な目を向け、
2.正しい選択、行動をしているか論理的に考えられることだ。
 過去のやり方をそのまま受け止めるだけ、先輩や上司のいうことを鵜呑みに従っているだけで、これからの時代をうまく生きていけるだろうか。もちろん、それが正しい場合もある。しかし、過去のやり方が通用しない環境になったにもかかわらず、やり方を変えないことも多い。それが、今の政治や企業活動の閉塞感につながっているのではないだろうか。
 環境はつねに変化する。だからこそ、当たり前と思われていることに問いを立て、論理的に解決することができる人間が求められているのだ。

●哲学・クリティカルシンキングはどうやって学ぶか

 以上のように、哲学・クリティカルシンキングの重要性については述べてきたつもりだが、最後に「学び方」に関しても伝えたい。クリティカルシンキングや哲学が必修となっている大学の学生であれば学ぶ機会もあろうが、多くはそうもいかないだろう。お勧めしたいのは次の方法だ。
1.哲学・クリティカルシンキングに関する本を読む。
2.少人数制の講義を取り議論する。
3.勉強サークルに入り、議論する(教授の参加があればさらによい)。
4.ゼミ・研究室で、特定のテーマに関して深く研究する。
5.インターンシップ等を通じ、社会の中で実践する。
6.ブログ、Twitter等で自分が考えたことをオープンに伝え、議論する。
 2~6は問いを立て、論理的に考える実践の場だ。自分では深く考えているつもりでも、他者の視点を入れることで、新たな気づきを得ることができる。ソクラテスが「無知の知」を唱えたように、知っているつもりでもその知識は完全ではない。議論により得られるものは驚くほど多い。

 今回は「1.本を読む」に関して、いくつか参考になる本を紹介したい。大学での学問に役立つのみならず、就職活動でも、社会人になってからも、必ず役に立つ本ばかりだ。

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