近藤誠氏のセカンドオピニオンを受けてみた

「抗がん剤は効かない」は悪魔の証明

(写真:millionsjoker/iStock)

日本のがん治療に最も影響を与えた医師として、まず頭に浮かぶのは、「近藤誠」氏の名前である。

「抗がん剤は効かない」「がんもどき理論」「がん放置療法」など、近藤氏が打ち出す独自理論に影響されて、がん治療を拒否する患者が相次いでいるからだ。

その著書の多くがベストセラーになり、がん患者の間では「近藤信者」と呼ばれるほど熱心な支持者がいる一方で、医療現場の近藤氏に対する評判はすこぶる悪い。

彼は、がん医療の真実を語る孤高の医師なのか、それとも壮大な独自理論で患者を惑わし、患者から正しい治療を奪ってしまう医師なのか──。

いつか直接会って確かめたいと考えていたところ、思わぬ偶然が2つ重なり、直接、自分が近藤氏と対面する機会が生じた。

毎年受診している検査で、私の右肺に小さな白い影が認められたのだ。これまで多くのがん患者の生死を取材してきたが、自分が当事者となって彼らが向き合ってきた不安の深さ、絶望を初めて知った。

そんな時、「がん治療をテーマにした実用書を書かないか」と、編集者から提案された。そこで私は、1人の患者として、近藤誠氏のセカンドオピニオン外来を受診することにした。ありのままの人物像を知ることができるからだ。

その覆面取材や詐欺的ながん医療の見分けるヒントなどを拙著『やってはいけない がん治療 医者は絶対に書けない医療の真実』にもまとめている。

研究所は、狭いワンルームの1室だった

近藤誠氏は1948年生まれ。慶応義塾大学医学部を卒業してから定年退職するまで、放射線科医として同大学病院に勤務した。

1988年、日本で普及していなかった乳房温存療法をめぐり、近藤氏は「治癒率は温存療法と同じなのに、乳房を勝手に切り取るのは外科医の犯罪行為ではないか」と、月刊文藝春秋に寄稿した。

これによって、近藤氏は同大学で村八分状態となり、種々の役職もはずされた、と著書『これでもがん治療を続けますか』(文藝春秋)に記している。それでも辞めなかったのは、「慶応ブランド」を利用して、社会に問題提起するためだったという。

2013年からは、東京・渋谷に「近藤誠がん研究所」を設立、セカンドオピニオン外来を開いている。1回30分の相談料は2万2000円だ。

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