近藤誠氏のセカンドオピニオンを受けてみた

「抗がん剤は効かない」は悪魔の証明

「画像データは持ってきたの?それ見せて」

近藤氏はメガネを額に上げてずらし、手渡したスマホの画面に顔を近づけて見入った。70代にしては、筋肉質の骨太な体格をしている。

近藤氏の著作(筆者撮影)

近藤誠がん研究所は、広さ20平方メートルほどで、縦長のワンルームだった。全国に名を知られる医師にしては、ずいぶんと簡素な〝研究所〟である。

「大きさは1センチくらいだなあ。(病変から)組織を取って顕微鏡で検査をすると、良性という返事がくる場合と、悪性の場合があってね。悪性は悪性腫瘍の略で、言い換えると『がん』ということになる。

あなたの場合はまだ、がんではない場合もあるんですよ。こう見えた場合、10人中、がんは8人から9人くらいなのね。良性の場合も1人か2人いる」(近藤氏)

画像診断でがんの疑いが見つかると、組織を直接採取して細胞を調べる「生検」を確定診断として行うことが多い。この時点で、私はまだ生検を受けていなかった。

近藤氏のセカンドオピニオンを受けた筆者のCT画像。矢印が示す部分に、「肺がんの疑い」を指摘された(筆者提供)

「(がんであるか)どっちかわからないから、気管支鏡検査か、CTガイド下生検(CT・がいどか・せいけん)をやるわけ。確実性が高いのは、CTガイド下生検。上手、下手もある。僕は医療訴訟の相談にのっていたからね、鑑定意見書を何十通も書く。そのうち2つは、CTガイド下生検で『即死』したというやつ」

──えっ、即死ですか?

「(検査用の針が)小さな肺の血管を破って、ごほんと、せきをすると、胸腔内圧が高まって、血管の中に空気がわーっと流れ込んで、心臓に詰まるか、脳に行くか。どっちも『即死』。

どんな大きな病院でも、CTガイド下生検で死んだ患者は必ず経験しているはずだよ。検査の説明文には『重大な副作用が出ます』とか書いてるけど、『死ぬ』とは書かない。実際には死ぬことがあるんだけど、(患者が)勘違いしちゃう」

おおげさに驚く私の反応を見て、近藤氏はほほえんだ。楽しんでいるようにも見える。

後で調べてみると、過去の全国調査では、CTガイド下生検9783件のうち、死亡事故は7件だった。確率にすると、0.07%。数値の解釈は人によって分かれるだろうが、死亡事故のリスクだけを強調されると、患者は尻込みするだろう。

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