SNSの「中傷被害撲滅」が一筋縄でいかない理由 ツイッタージャパンの笹本社長に聞いた
――アメリカのトランプ大統領の投稿に「誤情報警告ラベル」がついたことで話題となりましたが、どのような基準で運用されているのでしょうか?
前提として、このような警告ラベルはトランプ氏の発言以外にもいろいろな適用例がある。たとえツイッターで定めるルールに違反するツイートであっても、公共の利益に照らして閲覧を認める場合がある。稀ではあるものの、こうしたケースには対象ツイート上に告知を表示することで対処を試みている。
トランプ氏の発言に関しては、リーダーとしての性質上、非常に大きな影響力がある。その発言が物議を醸したり、さまざまな議論や討論を招いたりする可能性もある。また、今後大統領選挙を迎えるにあたっては「この人がこういう発言をしている」というそれ自体が貴重な情報にもなりえる。利用者が自分たちの国を代表するリーダーに対してオープンに公の場で意見したり、説明責任を問うたりできることは重要だ。
トランプ氏以外のものだと、例えば新型コロナ関連で科学的根拠が証明されていない情報などにもこのラベルを表示することがある。フェイクニュースや、意図的な操作によって誰かに被害をもたらす可能性のあるコンテンツは今後も注視していく。
言論統制のような事態は望ましくない
――日本国内でも法規制強化に向けた議論が進行しています。
一事業者の立場で国の方向性に口を出すつもりはないし、各国で定められた法規制を遵守して運営を行っていくのも大前提だ。ただ、過度な規制が言論統制のような事態につながるのは望ましくない。
負の面が指摘される一方で、検察庁法改正案を巡る議論のような、ツイッターという自由な言論空間ならではのムーブメントも多く起こっている。疑わしいもの、見苦しいものを完全に排除することは、社会をよりよくすることに必ずしも貢献しないのではないか。
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